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February 13, 2003 Vol. 348 No. 7

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クローン病におけるインフリキシマブの長期有効性に免疫原性が及ぼす影響
Influence of Immunogenicity on the Long-Term Efficacy of Infliximab in Crohn's Disease

F. Baert and Others

背景

ヒト IgG1 キメラ型の抗腫瘍壊死因子 α モノクローナル抗体であるインフリキシマブを投与すると,抗インフリキシマブ抗体が形成される可能性がある.われわれはクローン病患者における抗インフリキシマブ抗体の臨床上の重要性について評価した.

方 法

インフリキシマブを注入投与した一連のクローン病患者 125 例のコホートにおいて,注入前,注入 4,8,12 週後にインフリキシマブ濃度,抗インフリキシマブ抗体濃度,臨床データ,副作用(輸液反応を含む),併用薬使用について評価した.

結 果

平均 10 ヵ月間にわたり患者 1 人当り平均 3.9 回(1~17 回)の注入投与が行われた.抗インフリキシマブ抗体が患者の 61%で検出された.注入前の濃度が 8.0 μ g/mL 以上の場合,反応の持続期間が短縮し(8.0 μ g/mL 未満の患者での 71 日に対して 35 日;P<0.001),輸液に伴う副作用のリスクがより高くなることが示された(相対リスク 2.40;95%信頼区間 1.65~3.66;P<0.001).輸液反応を示した患者は示さなかった患者よりも 4 週後のインフリキシマブ濃度が有意に低かった(中央値 1.2 対 14.1 μ g/mL;P<0.001).輸液反応を示した患者では臨床反応が持続した期間の中央値は 38.5 日間で,輸液反応を示さなかった患者では 65 日であった(P<0.001).免疫抑制剤による併用治療を行った場合,注入後 4 週目の抗インフリキシマブ抗体濃度は低値を示し(P<0.001),インフリキシマブ濃度は高値を示した(P<0.001).

結 論

抗インフリキシマブ抗体の形成は,輸液反応リスクの増大と,治療への反応の持続期間の短縮に関連する.免疫抑制剤の併用投与は免疫原性反応の程度を抑制する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 601 - 8. )