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February 27, 2003 Vol. 348 No. 9

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死亡の予測因子としての運動後の頻発性心室性期外収縮
Frequent Ventricular Ectopy after Exercise as a Predictor of Death

J.P. Frolkis, C.E. Pothier, E.H. Blackstone,and M.S. Lauer

背景

住民ベースのコホートにおいて,運動により誘発される心室性期外収縮は,死亡リスクの増大を予測する.副交感神経が再活性化する運動直後に発生する心室性期外収縮の,予測因子としての重要性を患者コホートで検討することを試みた.運動後(すなわち回復期)の心室性期外収縮は,運動中の心室性期外収縮よりも死亡リスクの増大をよりよく予測するという仮説を立てた.

方 法

心不全,弁膜疾患あるいは不整脈の既往がなく,自覚症状が発現しない程度の運動負荷試験を受けた患者 29,244 例(平均年齢±SD,56±11 歳;70%が男性)について調査した.毎分 7 回以上の心室性期外収縮,心室性二段脈・三段脈,2 連発または 3 連発の心室性期外収縮,心室性頻脈,心室粗動,トルサード・ド・ポワントまたは心室細動が存在する場合を頻発性心室性期外収縮と定義した.

結 果

頻発性心室性期外収縮が,患者 945 例(3%)で運動中にのみ,589 例(2%)で運動後にのみ,491 例(2%)で運動中・運動後の両方に生じた.平均追跡期間 5.3 年間に 1,862 例が死亡した.運動中の頻発性心室性期外収縮は,死亡リスクの増大を予測したが(5 年死亡率 9%,これに対し運動中の頻発性心室性期外収縮のない患者では 5%;ハザード比 1.8;95%信頼区間 1.5~2.1;P<0.001),運動後の頻発性心室性期外収縮は,リスク増大のより強力な予測因子であった(11% 対 5%;ハザード比 2.4;95%信頼区間 2.0~2.9;P<0.001).交絡変数による死亡リスクの程度をマッチさせると,運動後の頻発性心室性期外収縮は死亡リスクの増大を予測したが(補正ハザード比 1.5;95%信頼区間 1.1~1.9;P=0.003),運動中の頻発性心室性期外収縮は予測しなかった(補正ハザード比 1.1;95%信頼区間 0.9~1.3;P=0.53).

結 論

運動後の回復期に生じる頻発性心室性期外収縮は,運動中のみに生じる心室性期外収縮よりも死亡リスク増大の優れた予測因子である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 781 - 90. )