The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 6, 2003 Vol. 348 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

大腸癌の既往がある患者における大腸腺腫を予防するためのアスピリンの無作為試験
A Randomized Trial of Aspirin to Prevent Colorectal Adenomas in Patients with Previous Colorectal Cancer

R.S. Sandler and Others

背景

動物を対象とした実験的な研究およびヒトを対象とした観察研究から,定期的にアスピリンを使用すると,大部分の大腸癌の前癌病変である大腸腺腫のリスクが低下する可能性が示唆されている.

方 法

アスピリンが大腸腺腫の発生率に与える影響を調べるため,無作為二重盲検試験を実施した.大腸癌の既往がある患者 635 例を,1 日 325 mg のアスピリン投与を受ける群またはプラセボ投与群のいずれかに無作為に割付けた.腺腫がある患者の割合,再発腺腫の個数,腺腫発生までの時間(無作為化から次の結腸鏡検査までの時間)を測定した.相対リスクは,年齢,性別,癌のステージ,結腸鏡検査の回数,および最初の結腸鏡検査までの時間で補正した.この試験は,あらかじめ予定していた中間解析において統計学的に有意な結果が報告されたさいに,独立データ・安全性モニタリング委員会によって早期に中止された.

結 果

無作為化された患者計 517 例が,無作為化後に中央値 12.8 ヵ月目で,結腸鏡検査を少なくとも 1 回受けた.1 個以上の腺腫が,アスピリン群患者の 17%とプラセボ群患者の 27%に認められた(P=0.004).平均(±SD)の腺腫数はアスピリン群のほうがプラセボ群よりも少なかった(0.30±0.87 対 0.49±0.99,Wilcoxon 検定では P=0.003).すべての再発腺腫に関するアスピリン群の補正相対リスクはプラセボ群と比較して 0.65 であった(95%信頼区間 0.46~0.91).最初の腺腫が検出されるまでの時間は,アスピリン群のほうがプラセボ群に比べて長かった(新たなポリープ検出のハザード比 0.64;95%信頼区間 0.43~0.94;P=0.022).

結 論

アスピリンを日常的に使用することは,過去に大腸癌の既往がある患者の大腸腺腫発生率が有意に低下することと関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 348 : 883 - 90. )