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September 11, 2003 Vol. 349 No. 11

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経口抗凝固療法の用量が心房細動に関連する脳卒中の重症度と死亡率に与える影響
Effect of Intensity of Oral Anticoagulation on Stroke Severity and Mortality in Atrial Fibrillation

E.M. Hylek and Others

背景

心房細動患者における脳卒中の発生率は,経口抗凝固療法によって大きく減少し,国際標準比(INR)値 2.0 以上の場合に最大の効果が認められる.経口抗凝固療法の用量が心房細動に関連した脳卒中の重症度に与える影響は明らかになっていないが,目標 INR の決定において重要である.

方 法

非弁膜症性心房細動患者 13,559 例のコホート集団において,虚血性脳卒中の発症率を検討した.入院データベースより脳卒中を同定し,医療記録に基づいて確認した.ワルファリンまたはアスピリンの使用,入院時の INR,合併症に関する情報も医療記録から得た.脳卒中の重症度は修正ランキン尺度で評価した.入院記録および死亡記録から,30 日以内の死亡を確認した.

結 果

596 件の虚血性脳卒中のうち,32%はワルファリン療法中に,27%はアスピリン療法中に,42%はそれ以外の療法中に発生した.ワルファリンを服用していた患者では,入院時の INR が 2.0 未満であった場合,INR が 2.0 以上であった場合と比較して,比例オッズ・ロジスティック回帰モデルにおける重症脳卒中のオッズが,3 つの重症度カテゴリー全体で独立して上昇し(オッズ比 1.9;95%信頼区間 1.1~3.4),30 日以内の死亡リスクが独立して上昇した(ハザード比 3.4;95%信頼区間 1.1~10.1).入院時の INR が 1.5~1.9 の場合,死亡率は INR が 1.5 未満の場合と同程度であった(それぞれ 18%と 15%).脳卒中発生時にアスピリンを服用していた患者では,30 日死亡率は,ワルファリンを服用し,INR が 2.0 未満であった患者と同程度であった.

結 論

非弁膜症性心房細動患者において,INR を 2.0 以上にする抗凝固療法は,虚血性脳卒中の頻度を減少させるのみならず,その重症度や脳卒中による死亡リスクも減少させる.われわれの知見は,心房細動患者の INR 目標値をより低く設定することに反対する,より詳細な証拠を提供している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1019 - 26. )