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September 11, 2003 Vol. 349 No. 11

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高齢者の健康状態,平均余命,および医療費
Health, Life Expectancy, and Health Care Spending among the Elderly

J. Lubitz, L. Cai, E. Kramarow, and H. Lentzner

背景

高齢者の平均余命は数十年にわたり向上しており,高齢者の健康状態も改善されているという証拠がある.われわれは,70 歳での健康状態と平均余命との関連,および 70 歳での健康状態と 70 歳から死亡時までの累積医療費との関連を推定した.

方 法

1992~98 年のメディケアの最新受給調査(Medicare Current Beneficiary Survey)を用いて,機能状態と施設入所の有無,および健康に関する自己報告によって高齢者の健康状態を分類した.多段階生命表法とマイクロシミュレーションを用いて,さまざまな健康状態の高齢者の平均余命を推定した.また,年間の医療費と健康状態の推移を関連付けた.

結 果

健康状態が良好な高齢者では,健康状態が不良な高齢者に比べて平均余命がより長かったが,死亡時までの累積医療費は同程度であった.70 歳で機能上の制限のない高齢者では,平均余命は 14.3 年であり,期待累積医療費は約 136,000 ドル(1998 年のドル価値)であった.日常生活の行動に 1 つ以上制限のある高齢者では,平均余命は 11.6 年であり,期待累積医療費は約 145,000 ドルであった.70 歳の時点での健康に関する自己報告に基づいた費用の差はほとんどなかった.70 歳で施設に入所していた高齢者では,施設に入所していない高齢者に比べて累積医療費はかなり高かった.

結 論

寿命が長いにもかかわらず,より健康な高齢者の期待累積医療費は,健康状態がより不良な高齢者と同程度であった.65 歳未満の人を対象とした健康増進への取り組みにより,医療費を増加させることなく,高齢者の健康状態と寿命が向上するかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1048 - 55. )