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September 18, 2003 Vol. 349 No. 12

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集中治療室における死を予期して行う人工呼吸の中止
Withdrawal of Mechanical Ventilation in Anticipation of Death in the Intensive Care Unit

D. Cook and Others

背景

人工呼吸を受けている危篤状態の患者において,死を予期して人工呼吸を中止するという医師の決断に関連する要因は不明である.この研究の目的は,人工呼吸の中止に関連する臨床的規定要因を検討することであった.

方 法

15 の集中治療室で人工呼吸を受けていた成人について検討し,ベースライン時の生理的特徴,毎日の多臓器機能障害スコア(Multiple Organ Dysfunction Score),患者の意思決定能力,使用された生命維持措置の種類,蘇生拒否指示(do-not-resuscitate order;DNR 指示)の実施,患者の病態に関する医師の予測,生命維持装置使用への患者の意向に対する医師の理解を記録した.Cox 比例ハザード回帰分析を用いて,これらの因子と人工呼吸中止の関係を検討した.

結 果

人工呼吸を受けていた患者 851 例中,539 例(63.3%)は人工呼吸からの離脱に成功し,146 例(17.2%)が人工呼吸中に死亡し,166 例(19.5%)が人工呼吸を中止した.強心薬または昇圧薬の必要性は人工呼吸の中止に関連していた(ハザード比 1.78;95%信頼区間 1.20~2.66;P=0.004).また集中治療室での患者の生存の可能性は 10%未満という医師の予測(ハザード比 3.49;95%信頼区間 1.39~8.79;P=0.002),回復しても認知機能が著しく損われるだろうという医師の予測(ハザード比 2.51;95%信頼区間 1.28~4.94;P=0.04),生命維持装置の使用を患者が希望しなかったという医師の認識(ハザード比 4.19;95%信頼区間2.57~6.81;P<0.001)も人工呼吸中止に関連していた.

結 論

危篤状態の患者に対する人工呼吸中止のもっとも強い規定要因は,年齢や疾患・臓器不全の重症度よりもむしろ,患者が生命維持装置の使用を希望していないという医師の認識,集中治療室での生存の可能性が低いという医師の予測,認知機能が低下する可能性が高いという医師の予測,そして強心薬または昇圧薬の使用であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1123 - 32. )