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October 2, 2003 Vol. 349 No. 14

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自己の冠動脈に狭窄を有する患者におけるシロリムス溶出ステントと標準ステントの比較
Sirolimus-Eluting Stents versus Standard Stents in Patients with Stenosis in a Native Coronary Artery

J.W. Moses and Others

背景

単独の冠動脈病変を対象とした研究の予備的な報告では,シロリムス溶出ステントが経皮的冠動脈血行再建後の再狭窄のリスクを有意に低下させることが示唆されている.

方 法

米国の 53 施設において,自己の冠動脈に新規に診断された病変を有する患者 1,058 例を対象に,シロリムス溶出ステントと標準ステントを比較する無作為二重盲検試験を実施した.これらの患者では,糖尿病の有病率が高く(患者の 26%),病変部がより長い(平均14.4 mm)患者の割合が高く,血管が細かったため(平均 2.80 mm),冠動脈疾患が複雑であった.主要エンドポイントは,270 日間以内の標的血管の不全(心臓が原因の死亡,心筋梗塞,および標的血管への再度の経皮的または外科的血行再建の実施の複合)とした.

結 果

標的血管の不全となった割合は,標準ステント群で 21.0%であったのに対し,シロリムス溶出ステント群では 8.6%に減少した(P<0.001)――この減少は,主に標的病変の血行再建の必要性が低下したこと(標準ステント群 16.6%に対しシロリムス溶出ステント群 4.1%,P<0.001)によるものであった.血管造影法および血管内超音波法の両方で評価した結果,シロリムス溶出ステント群ではステント内の新生内膜過形成の頻度も低下していた.サブグループ解析から,検討したすべてのサブグループにおいて,血管造影上での再狭窄率と標的病変の血行再建実施率とが低下したことが明らかになった.

結 論

複雑な冠動脈病変を有する患者を対象としたこの無作為臨床試験では,シロリムス溶出ステントを使用することで一貫した治療効果が得られ,分析したすべてのサブグループにおいて,再狭窄および関連する臨床イベントの発生率が減少した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 1315 - 23. )