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November 27, 2003 Vol. 349 No. 22

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進行喉頭癌における臓器温存のための放射線療法と化学療法の同時併用
Concurrent Chemotherapy and Radiotherapy for Organ Preservation in Advanced Laryngeal Cancer

A.A. Forastiere and Others

背景

シスプラチン+フルオロウラシルを用いた導入化学療法後に放射線療法を行うことは,局所進行喉頭癌患者にとって,喉頭全摘術に替わる標準療法である.放射線療法に化学療法を追加することの価値,および化学療法を行う最適な時期については明らかにされていない.

方 法

局所進行喉頭癌患者を,3 つの治療法:シスプラチン+フルオロウラシルの導入化学療法後に放射線療法を行う治療法,放射線療法と同時にシスプラチン投与を行う治療法,放射線療法単独のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは喉頭の温存とした.

結 果

計 547 例の患者を,3 つの試験群の 1 つに無作為に割付けた.追跡期間の中央値は 3.8 年であった.2 年の時点で,放射線療法とシスプラチンの同時併用後に喉頭が温存されている患者の割合(88%)は,導入化学療法後に放射線療法を行った群における割合(75%,P=0.005)や放射線療法単独群における割合(70%,P<0.001)とは有意に異なっていた.局所制御率も,放射線療法とシスプラチンの同時併用で有意に優れていた(78%,これに対しシスプラチン+フルオロウラシルの導入化学療法後に放射線療法を行った群では 61%,放射線療法単独群では 56%).化学療法を基本とした 2 つの療法は,共に遠隔転移を抑制し,無病生存率は放射線療法単独よりもより良好であった.しかし,全体の生存率は 3 群すべてで同様であった.高度の毒性作用の頻度は,化学療法を基本とした療法でより高かった(シスプラチン+フルオロウラシルの導入化学療法後に放射線療法を行った群では 81%,放射線療法とシスプラチンを同時併用した群では 82%,これに対し放射線療法単独群では 61%).放射線療法とシスプラチンを同時併用したさいの粘膜毒性の頻度は,他の 2 つの治療法における放射線療法中の頻度のほぼ 2 倍であった.

結 論

喉頭癌患者において,放射線療法とシスプラチン投与の同時併用は,導入化学療法後に放射線療法を行う治療法や放射線療法単独よりも,喉頭温存や局所制御の点で優れている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2003; 349 : 2091 - 8. )