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January 8, 2004 Vol. 350 No. 2

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院外心肺蘇生のためのバソプレッシンとエピネフリンの比較
A Comparison of Vasopressin and Epinephrine for Out-of-Hospital Cardiopulmonary Resuscitation

V. Wenzel and Others

背景

バソプレッシンは,心肺蘇生時の昇圧療法でエピネフリンの代替として用いられるが,この治療の臨床経験は限られている.

方 法

院外心停止を起した成人を,バソプレッシン 40 IU またはエピネフリン 1 mg のいずれかを 2 回投与する群に無作為に割付け,その後,必要に応じてエピネフリンの追加投与を行った.主要エンドポイントは入院までの生存,副次的エンドポイントは退院までの生存とした.

結 果

患者計 1,219 例が無作為化された.うち 33 例は試験薬コードが不明のため除外された.残る 1,186 例中,589 例がバソプレッシン群,597 例がエピネフリン群に割付けられた.両投与群の臨床特性は同等であった.バソプレッシン群とエピネフリン群のあいだで,心室細動患者(46.2% 対 43.0%,P=0.48)および無脈性電気活動のある患者(33.7% 対 30.5%,P=0.65)の入院率に有意差はなかった.しかし収縮不全患者では,バソプレッシンの使用は,より高い入院率(29.0% 対 エピネフリン群 20.3%,P=0.02)および退院率(4.7% 対 1.5%,P=0.04)に有意に関連していた.試験薬 2 回の注射で自発的循環が再開しなかった患者 732 例において,エピネフリンを追加投与すると,バソプレッシン群では入院までの生存率および退院までの生存率が有意に改善したが,エピネフリン群では改善しなかった(入院率 25.7% 対 16.4%,P=0.002;退院率 6.2% 対 1.7%,P=0.002).脳機能は両群で同等であった.

結 論

心室細動や無脈性電気活動の管理において,バソプレッシンの効果はエピネフリンの効果と同等であったが,収縮不全患者ではバソプレッシンはエピネフリンより優れていた.治療抵抗性の心停止の治療において,バソプレッシン投与後にエピネフリンを投与することは,エピネフリン単独よりも有効であるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 105 - 13. )