ホモシステイン濃度と骨粗鬆症による骨折のリスク
Homocysteine Levels and the Risk of Osteoporotic Fracture
J.B.J. van Meurs and Others
異常に高い血漿ホモシステイン濃度は,ホモシスチン尿症の特徴である.ホモシスチン尿症は,全身性骨粗鬆症の早期発症と関連する,まれな常染色体劣性の遺伝疾患である.そこでわれわれは,ホモシステイン濃度の軽度の上昇が,加齢に伴う骨粗鬆症による骨折に関係するという仮説を立てた.
2 つの独立した人口ベースの前向き試験に参加した 55 歳以上の被験者 2,406 例を対象に,血中ホモシステイン濃度と,付随する骨粗鬆症による骨折のリスクとの関連性について検討した.ロッテルダム研究(Rotterdam Study)は 2 つの独立したコホートを含み,コホート 1 は被験者 562 例,平均追跡期間 8.1 年で,コホート 2 は被験者 553 例,平均追跡期間 5.7 年であった.アムステルダム・加齢に関する縦断的研究(Longitudinal Aging Study Amsterdam)は,コホートは 1 つで,被験者は 1,291 例,平均追跡期間は 2.7 年であった.骨折リスクを,年齢,性別,体格指数,骨折リスクまたはホモシステイン濃度の上昇に関連する可能性のある他の特性で補正し,多変量 Cox 比例ハザード回帰モデルを用いて解析した.
11,253 人‐年の追跡期間中に,191 例が骨粗鬆症による骨折を発症した.自然対数変換したホモシステイン濃度が 1 SD 増加するごとの,骨折の多変量補正相対リスクは全体で 1.4(95%信頼区間 1.2~1.6)であった.リスクは検討した 3 つのコホートで同程度であり,男女においても同程度であった.ホモシステイン濃度が年齢別の最高四分位群に属することは,骨折リスクの 1.9 倍(95%信頼区間 1.4~2.6)の上昇に関連した.ホモシステイン濃度と骨折リスクの関連性は,骨密度やその他可能性のある骨折の危険因子と独立していると考えられた.
ホモシステイン濃度の高値は,高齢男女において,骨粗鬆症による骨折の独立した強い危険因子であると考えられる.