結腸癌に対する腹腔鏡補助下切除術と開腹切除術の比較
A Comparison of Laparoscopically Assisted and Open Colectomy for Colon Cancer
The Clinical Outcomes of Surgical Therapy Study Group
侵襲の少ない腹腔鏡補助下手術は,結腸癌で結腸切除術を受ける患者のために,1990 年にはじめて考えられた.このアプローチでは,腫瘍切除や病期分類が適切に行えなかったり,再発パターンを変化させてしまうことで,生存が脅かされるのではないかという懸念から(手術創内での腫瘍再発に関する多くの報告に基づく),対照試験による評価が行われた.
48 施設において非劣性試験を実施し,結腸腺癌患者 872 例を,外科認定医による開腹あるいは腹腔鏡補助下での結腸切除術を受けるよう無作為に割付けた.追跡期間の中央値は 4.4 年であった.主要エンドポイントは腫瘍再発までの期間とした.
3 年の時点における再発率は 2 群で同程度で,腹腔鏡補助下手術群で 16%,開腹結腸切除術群で 18%(両側 P=0.32;再発のハザード比 0.86;95%信頼区間 0.63~1.17)であった.手術創内での再発率は,両群共に 1%未満であった(P=0.50).3 年の時点での全生存率も 2 群でほぼ等しく(腹腔鏡下手術群 86%,開腹結腸切除術群 85%;P=0.51;腹腔鏡下手術群の死亡のハザード比 0.91;95%信頼区間 0.68~1.21),癌のどの病期の患者においても,再発までの期間や全生存率に関して 2 群間に有意差はなかった.腹腔鏡下手術群のほうが,開腹結腸切除術群よりも周術期の回復は早く,入院期間の中央値(5 日 対 6 日,P<0.001),非経口麻薬の使用期間(3 日 対 4 日,P<0.001),経口鎮痛薬の使用期間(1 日 対 2 日,P=0.02)がより短かった.術中合併症の発生率,術後 30 日死亡率,退院時および 60 日の時点での合併症の発生率,再入院率,再手術率は,2 群でほぼ等しかった.
この多施設共同試験では,腹腔鏡補助下結腸切除術後と開腹結腸切除術後では,癌の再発率は同程度であった.このことは,腹腔鏡によるアプローチが,結腸癌に対する開腹手術の代替法として認容できることを示唆している.