慢性閉塞性肺疾患における末梢気道閉塞の特性
The Nature of Small-Airway Obstruction in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
J.C. Hogg and Others
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は公衆衛生上の重要な問題であり,有毒なガスや粒子への長期的な曝露と関連がある.COPD 患者において,気道閉塞による病理学的影響の変化を検討した.
患者 159 例から外科的に切除した肺組織の末梢気道を評価した.COPD の病期は,慢性閉塞性肺疾患に対するグローバルイニシアチブ(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease; GOLD)の分類で,病期 0 期(リスクのある状態)が 39 例,1 期が 39 例,2 期が 22 例,3 期が 16 例,4 期(きわめて重症)が 43 例であった.
COPD の進行は,末梢気道壁の組織量(P<0.001)および末梢気道内腔での炎症性の粘液性滲出液の貯留(P<0.001)と強く関連していた.COPD の進行に伴い,分葉核好中球(P<0.001),マクロファージ(P<0.001),CD4 細胞(P=0.02),CD8 細胞(P=0.038),B 細胞(P<0.001)が存在する気道や,リンパ濾胞の形成(P=0.003)の認められる気道の割合が増加し,B 細胞(P=0.03),CD8 細胞(P=0.02)の絶対量も増加した.
COPD の進行は,内腔に炎症性の粘液性滲出液が貯留することと,リンパ濾胞を形成する,先天性および反応性の炎症性免疫細胞が気道壁へ浸潤することに関連している.これらの変化は,このような末梢気道壁を肥厚させる修復やリモデリングの過程と結び付いている.