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February 5, 2004 Vol. 350 No. 6

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嚢胞性線維症と脂肪酸代謝異常の関連性
Association of Cystic Fibrosis with Abnormalities in Fatty Acid Metabolism

S.D. Freedman and Others

背景

嚢胞性線維症の患者では,血漿脂肪酸濃度に変化がみられる.われわれは以前に,嚢胞性線維症–ノックアウトマウスから採取した患部組織では,アラキドン酸濃度が上昇し,ドコサヘキサエン酸濃度が低下していることを明らかにした.今回の研究では,嚢胞性線維症膜通過伝導制御因子(CFTR)遺伝子に変異をもつヒトで,CFTR を発現している組織に,同様な脂肪酸の異常がみられるかどうかを決定した.

方 法

嚢胞性線維症患者 38 例において,鼻生検標本,直腸生検標本,鼻粘膜上皮細胞の擦過検体,血漿中に含まれる脂肪酸を分析し,絶対的ヘテロ接合体を有する被験者 13 例,健常対照者 24 例,炎症性腸疾患患者 11 例,上気道感染を有する患者 9 例,喘息患者 16 例の結果と比較した.

結 果

アラキドン酸のドコサヘキサエン酸に対する比率は,健常対照者の値と比較して,膵機能が正常な嚢胞性線維症患者ならびに膵不全を有する嚢胞性線維症患者から採取した鼻の粘膜・粘膜下層の生検標本(P<0.001)と直腸生検標本(P=0.009)で上昇していた.鼻組織では,この変化はアラキドン酸濃度の上昇とドコサヘキサエン酸濃度の低下を反映するものであった.鼻粘膜から得られた細胞では,アラキドン酸のドコサヘキサエン酸に対する比率は,健常対照者と比較して嚢胞性線維症患者で上昇しており(P<0.001),絶対的ヘテロ接合体を有する被験者では,その値はこれら 2 群の中間であった(P<0.001).炎症性腸疾患患者ではこの比率は上昇していなかった.喘息患者と上気道感染を有する患者における比率は,嚢胞性線維症患者と健常対照者の値の中間であった.

結 論

これらのデータから,嚢胞性線維症患者から採取した CFTR 発現組織には,嚢胞性線維症–ノックアウトマウスとほぼ同様の脂肪酸濃度の変化が認められることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 560 - 9. )