February 19, 2004 Vol. 350 No. 8
心臓移植後の骨量減少予防を目的としたアレンドロネートとカルシトリオールの比較
Alendronate versus Calcitriol for the Prevention of Bone Loss after Cardiac Transplantation
E. Shane and Others
骨粗鬆症は,心臓移植の合併症としてよく知られている.われわれは,心臓移植後 1 年間の骨量減少予防を目的として投与する,アレンドロネートとカルシトリオールを比較する無作為試験を行った.
計 149 例の患者を,アレンドロネート(10 mg/日)またはカルシトリオール(0.5 μg/日)のいずれかの投与を,移植後平均(±SD)21±11 日間受けるよう無作為に割付けた.治療を受けていない患者の骨量減少と骨折の発生率の推定値は,介入群と同じ期間に心臓移植を受けた,前向きに募集した患者 27 例の対照群から得た.
1 年目における腰椎の骨塩密度は,アレンドロネート群で平均 0.7%減少し,カルシトリオール群で平均 1.6%減少した(同等性の検定の P=0.25).大腿骨頸部の骨塩密度は,アレンドロネート群で平均 1.7%減少し,カルシトリオール群で平均 2.1%減少した(P=0.69).対照群では,腰椎の平均骨塩密度は 3.2%減少し(アレンドロネート群との比較の P=0.03;カルシトリオール群との比較の P=0.15),大腿骨頸部の平均骨塩密度は 6.2%減少した(両介入群との比較の P=0.001).脊椎骨折の発生率については,3 群のあいだに有意差はみられなかった(アレンドロネート群 6.8%,カルシトリオール群 3.6%,対照群 13.6%).高カルシウム尿症は,カルシトリオール群患者の 27%,アレンドロネート群患者の 7%に発症した(P=0.01).
骨量減少の程度と骨折の発生率については,介入群間に有意差はみられなかった.カルシトリオールは,高カルシウム尿症のリスクがより高いことと関連していた.脊椎の骨量減少は,アレンドロネート治療を受けた患者では対照群よりも少なく,股関節部の骨量減少は,両介入群とも対照群より少なかった.カルシトリオール治療を受ける患者では血清中と尿中のカルシウム濃度を監視する必要があるため,アレンドロネートのほうが心臓移植後早期にみられる骨量減少予防に期待がもてる.