The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 9, 2004 Vol. 351 No. 11

エリスロマイシンの経口投与と心原性突然死のリスク
Oral Erythromycin and the Risk of Sudden Death from Cardiac Causes

W.A. Ray and Others

背景

エリスロマイシンの経口投与は,心臓の再分極を延長し,トルサード・ド・ポアンツ(torsades de pointes)の症例報告と関連付けられている.エリスロマイシンは,大半がチトクロム P450 3A(CYP3A)アイソザイムによって代謝されるため,一般に使用される CYP3A の作用を阻害する薬物が,血漿中のエリスロマイシン濃度を上昇させ,その結果心室性不整脈や突然死のリスクが増大する可能性がある.われわれは,エリスロマイシンの使用と心原性突然死のリスクとの関連性,およびこのリスクが CYP3A の強力な阻害薬を併用することで上昇するかどうかについて,検討を行った.

方 法

事前に同定したテネシー州メディケイドにおける,追跡調査 1,249,943 人‐年を含むコホート集団と,心原性突然死が確認された 1,476 例について検討を行った.この研究で使用された CYP3A 阻害薬は,ニトロイミダゾール系抗真菌薬,ジルチアゼム,ベラパミル,トロレアンドマイシンで,各薬物により,CYP3A 基質に対する時間‐濃度曲線下面積は最低 2 倍になる.また,薬剤の適応症による交絡の可能性を評価する目的で,同様の適応症で心臓の再分極を延長させない抗菌薬アモキシシリンと,これまでのエリスロマイシン使用歴についても検討した.

結 果

現在エリスロマイシンを使用している患者において,心原性突然死の多変量補正発生率は,いずれの調査対象抗菌薬も使用したことのない患者よりも 2 倍高かった(発生率比 2.01;95%信頼区間 1.08~3.75;P=0.03).過去にエリスロマイシンを使用した患者(発生率比 0.89;95%信頼区間 0.72~1.09;P=0.26),またはアモキシシリンを現在使用している患者(発生率比 1.18;95%信頼区間 0.59~2.36;P=0.65)では,突然死のリスクに有意な上昇はみられなかった.心原性突然死の補正発生率は,CYP3A 阻害薬とエリスロマイシンを併用していた患者では,CYP3A 阻害薬もいずれの調査対象抗菌薬も使用したことのない患者の 5 倍であった(発生率比 5.35;95%信頼区間 1.72~16.64;P=0.004).一方,アモキシシリンと CYP3A 阻害薬を併用していた患者,または調査対象抗菌薬のいずれかを現在使用し,過去に CYP3A 阻害薬を使用したことのある患者では,突然死のリスクは上昇しなかった.

結 論

エリスロマイシンと CYP3A の強力な阻害薬の併用は避けるべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 1089 - 96. )