黒人と白人を治療するプライマリケア医
Primary Care Physicians Who Treat Blacks and Whites
P.B. Bach and Others
米国では,黒人患者は一般的に,白人患者よりも質の低い保健医療を受けている.黒人患者は,白人患者を治療する医師に比べ,資格や力量が不十分な医師から医療を受けている可能性がある.
年 2 回の電話調査である,地域追跡研究・医師調査 2000~2001 年(2000–2001 Community Tracking Study Physician Survey)に参加したプライマリケア医,4,355 人が診察した 65 歳以上の黒人ならびに白人のメディケア受給者による,医学的「評価と管理」を目的とする受診 150,391 件について,横断分析を実施した.
黒人患者の受診の大半は,白人患者にはほとんど医療を提供しない医師の小さなグループによるものであった(受診の 80%は 22%の医師で占められていた).白人患者と黒人患者の受診を比較すると,黒人患者が受診した医師は,白人患者が受診した医師に比べ認定医である割合が低く(それぞれ 77.4%,86.1%;P=0.02),また患者全員に質の高い医療を提供することはできないと報告している割合が高い(27.8% 対 19.3%,P=0.005)ことが判明した.黒人患者を治療する医師は,患者に高い技能をもつ専門医を紹介したり,質の高い画像診断や救急以外の入院の利用機会を与えるうえで,より大きな困難に直面していることも報告した.
黒人患者と白人患者では,大部分が異なる医師の治療を受けている.黒人患者を治療する医師は白人患者を治療する医師に比べ,臨床的訓練が不十分で,重要な医療資源を利用できない可能性がある.これらの違いが,保健医療の格差にどの程度影響しているかを調べるためにも,詳細な研究を行うべきである.