March 17, 2005 Vol. 352 No. 11
心臓手術後の COX-2 阻害薬パレコキシブおよびバルデコキシブ投与による合併症
Complications of the COX-2 Inhibitors Parecoxib and Valdecoxib after Cardiac Surgery
N.A. Nussmeier and Others
バルデコキシブ(valdecoxib)とその静脈注射用プロドラッグであるパレコキシブ(parecoxib)は,術後疼痛の治療に使用されるが,冠動脈バイパス術(CABG)後はリスクを伴う可能性がある.無作為試験を実施し,CABG 後のこれらの薬物の安全性を評価した.
この無作為二重盲検試験では,1,671 例を対象に,10 日間治療を行い 30 日間追跡した.患者を,パレコキシブを少なくとも 3 日間静脈内投与し,その後 10 日目までバルデコキシブを経口投与する群;プラセボを静脈内投与し,その後バルデコキシブを経口投与する群;プラセボを 10 日間投与する群のいずれかに無作為に割付けた.すべての患者は,標準的なオピオイド療法を受けることが可能であった.主要エンドポイントは,心血管イベント,腎不全または腎機能障害,胃十二指腸潰瘍の形成,創傷治癒合併症などのあらかじめ定義した有害事象の発生率とした.
プラセボのみを投与した群と比較して,パレコキシブ+バルデコキシブ併用投与群とプラセボ+バルデコキシブ投与群では,有害事象が少なくとも 1 件確認された患者の割合が高かった(両群でそれぞれ 7.4% 対 プラセボ群 4.0%,それぞれの比較でリスク比 1.9,95%信頼区間 1.1~3.2,それぞれプラセボ群との比較で P=0.02).とくに,心血管イベント(心筋梗塞,心停止,脳卒中,肺塞栓など)の発生率は,パレコキシブ+バルデコキシブ併用投与群でプラセボ群よりも高かった(2.0% 対 0.5%,リスク比 3.7,95%信頼区間 1.0~13.5,P=0.03).
CABG 後のパレコキシブ+バルデコキシブ併用投与は,心血管イベントの発生率の上昇と関連しているため,このような状況でこれらの薬剤を使用することに関して重大な懸念が提起される.
(本論文は,2005 年 2 月 15 日 www.nejm.org で発表された.)