January 13, 2005 Vol. 352 No. 2
頭蓋内動脈瘤手術における術中軽度低体温
Mild Intraoperative Hypothermia during Surgery for Intracranial Aneurysm
M.M. Todd and Others
頭蓋内動脈瘤手術では,術後に神経障害が起ることが多い.30 ヵ所の施設で無作為試験を行い,開頭術中の冷却により,急性動脈瘤性くも膜下出血の患者の転帰が改善するかどうかを検討した.
術前の国際脳神経外科連合(World Federation of Neurological Surgeons)の分類スコアが I,II,III のいずれか(「グレードの軽い患者」)で,予定していた動脈瘤クリッピング術前 14 日以内にくも膜下出血を発症した患者,計 1,001 例を,術中低体温(目標体温 33℃,表面冷却法を使用)または正常体温(目標体温 36.5℃)のいずれかに無作為に割付けた.患者を術後慎重に観察し,術後約 90 日後に検査を行って,グラスゴー転帰スコア(Glasgow Outcome Score)で評価した.
集中治療室の入室期間,全入院期間,追跡期間中の死亡率(両群ともに 6%),退院後の行き先(生存患者では自宅または他の病院)に関して,術前に低体温に割付けられた群と正常体温に割付けられた群のあいだで有意差はみられなかった.最終追跡調査時にグラスゴー転帰スコアが 1(転帰良好)であったのは,低体温群患者では 499 例中 329 例であったのに対し,正常体温群患者では 501 例中 314 例であった(66% 対 63%,オッズ比 1.14,95%信頼区間 0.88~1.48,P=0.32).術後の菌血症は,低体温群で正常体温群よりも多く認められた(5% 対 3%,P=0.05).
グレードの軽い動脈瘤性くも膜下出血の患者において,術中低体温は開頭術後の神経学的転帰を改善しなかった.