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April 7, 2005 Vol. 352 No. 14

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ロサンゼルスにおける市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による壊死性筋膜炎
Necrotizing Fasciitis Caused by Community-Associated Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in Los Angels

L.G. Miller and Others

背景

壊死性筋膜炎は,生命を脅かす感染症であり,緊急の外科的・内科的治療が必要となる.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は,壊死性筋膜炎の原因としては非常にまれであったが,最近,驚くべき数の市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染例が確認されている.

方 法

われわれの施設で,2003 年 1 月 15 日~2004 年 4 月 15 日に,創部培養で MRSA の増殖がみられた患者 843 例の記録を再検討した.このコホート集団で,同一地域から受診し,壊死性筋膜炎,壊死性筋炎,またはその両方の臨床所見と術中所見が認められた患者 14 例を同定した.

結 果

患者は,年齢の中央値が 46 歳(範囲 28~68 歳)で,71%が男性であった.併存疾患や危険因子として,現在または過去の注射薬物の使用(43%);過去の MRSA 感染,糖尿病,慢性 C 型肝炎(それぞれ 21%);癌,ヒト免疫不全ウイルス感染,後天性免疫不全症候群(それぞれ 7%)が確認された.4 例(29%)には,重篤な併存疾患や危険因子はなかった.すべての患者が内科的治療と外科的治療を受け,死亡した患者はいなかったが,重篤な合併症が起り,再建術や集中治療室への長期入院が必要となる患者もいた.創部培養では患者の 86%で MRSA が単一で検出され,血液培養を行った患者の 40%(10 例中 4 例)が陽性を示した.すべての MRSA 分離株は,in vitro でクリンダマイシン,トリメトプリム‐スルファメトキサゾール,リファンピンに感受性を示した.回収したすべての分離株は,同じ遺伝子型(多座位配列 ST8 型,パルスフィールド USA300 型,ブドウ球菌カセット染色体 mec IV 型 [SCCmecIV])に属し,Panton-Valentine 型ロイコシジン(pvl),lukDlukE の遺伝子を有していたが,他の毒素遺伝子は検出されなかった.

結 論

市中感染型 MRSA による壊死性筋膜炎は,新しい臨床疾患概念である.市中感染型 MRSA 感染が流行している地域では,壊死性筋膜炎が疑われる症例に対し,経験的治療としてこの病原体に有効であると予測される抗菌薬を用いるべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1445 - 53. )