The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 10, 2005 Vol. 352 No. 6

急激な精神的ストレスに起因する心筋収縮不全の神経体液因子の特徴
Neurohumoral Features of Myocardial Stunning Due to Sudden Emotional Stress

I.S. Wittstein and Others

背景

精神的ストレスにより可逆的な左室機能不全が引き起されることが報告されているが,その機序はまだ明らかではない.

方 法

急激な精神的ストレスのあとに左室機能不全をきたした患者 19 例を評価した.全患者に冠動脈造影と一連の心エコー検査を実施し,うち 5 例には心内膜心筋生検も行った.ストレスに関連して心筋機能不全をきたした患者 13 例の血漿カテコールアミン濃度を,Killip 分類 III の心筋梗塞患者 7 例と比較した.

結 果

ストレスにより心筋症をきたした患者の年齢は中央値で 63 歳であり,95%が女性であった.臨床症状は,胸痛,肺水腫,心原性ショックであった.ほとんどの患者で幅の広い T 波逆転や QT 間隔延長が認められた.17 例で血清トロポニン I 濃度がやや上昇していたが,臨床的に重要な冠動脈疾患の血管造影所見が認められたのは,19 例中 1 例のみであった.入院時には重度の左室機能不全が認められたが(駆出率の中央値 0.20,四分位範囲 0.15~0.30),全例がすみやかに回復した(2~4 週目における駆出率 0.60,四分位範囲 0.55~0.65,P<0.001).心内膜心筋生検では,単核球浸潤や収縮帯の壊死が認められた.診察時の血漿カテコールアミン濃度は,ストレスにより心筋症をきたした患者のほうが,Killip 分類 III の心筋梗塞患者よりもはるかに高かった(エピネフリン濃度の中央値,1,264 pg/mL [四分位範囲 916~1,374] 対 376 pg/mL [四分位範囲 275~476];ノルエピネフリン濃度の中央値,2,284 pg/mL [四分位範囲 1,709~2,910] 対 1,100 pg/mL [四分位範囲 914~1,320];ドーパミン濃度の中央値,111 pg/mL [四分位範囲 106~146] 対 61 pg/mL [四分位範囲 46~77];すべての比較で P<0.005).

結 論

精神的ストレスは,冠動脈疾患のない患者において,重度の可逆性左室機能不全を誘発する可能性がある.交感神経の過度の刺激が,この症候群の主要な原因であると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 539 - 48. )