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March 3, 2005 Vol. 352 No. 9

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無症候性僧帽弁閉鎖不全症の転帰の 定量的規定要因
Quantitative Determinants of the Outcome of Asymptomatic Mitral Regurgitation

M. Enriquez-Sarano and Others

背景

無症候性僧帽弁閉鎖不全症の臨床転帰はあまり明らかにされていないため,治療方法も不明確である.最近のガイドラインに基づく僧帽弁逆流の定量化が,その転帰に及ぼす影響を検討した.

方 法

無症候性で器質性の僧帽弁閉鎖不全症患者 456 例(平均年齢 [±SD] 63±14 歳,男性 63%,駆出率 70±8%)を前向きに登録し,現行の勧告に従って定量化した(僧帽弁逆流量 66±40 mL/心拍,有効逆流弁口面積 40±27 mm2).

結 果

全死因死亡,心臓が原因の死亡,内科的管理を伴う心イベント(心臓が原因の死亡,心不全,新規の心房細動)の 5 年間の発生率(±SE)は,それぞれ 22±3%,14±3%,33±3%と推定された.生存の独立した規定要因は,年齢の増加,糖尿病の存在,有効逆流弁口面積の増加(10 mm2 増加するごとの補正リスク比 1.18,95%信頼区間 1.06~1.30,P<0.01)であり,有効逆流弁口面積の増加の予測能は,逆流に関する他のすべての定性的・定量的な指標よりも優れていた.有効逆流弁口面積が 40 mm2 以上の患者の 5 年生存率は,米国国勢調査に基づく期待値よりも低かった(58±9% 対 78%,P=0.03).有効逆流弁口面積が 20 mm2 未満の患者と比較して,40 mm2 以上の患者では,全死因死亡(補正リスク比 2.90,95%信頼区間 1.33~6.32,P<0.01),心臓が原因の死亡(補正リスク比 5.21,95%信頼区間 1.98~14.40,P<0.01),心イベント(補正リスク比 5.66,95%信頼区間 3.07~10.56,P<0.01)のリスクが高かった.心臓手術は,最終的に 232 例に実施され,独立して生存率の改善と関連していた(補正リスク比 0.28,95%信頼区間 0.14~0.55,P<0.01).

結 論

僧帽弁逆流の定量化による重症度評価は,無症候性僧帽弁閉鎖不全症の臨床転帰の強力な予測因子である.有効逆流弁口面積が 40 mm2 以上の患者には,心臓手術をただちに考慮すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 875 - 83. )