喘息リスクが高い就学前の小児における長期吸入副腎皮質ステロイド療法
Long-Term Inhaled Corticosteroids in Preschool Children at High Risk for Asthma
T.W. Guilbert and Others
喘息リスクが高い就学前の小児において,吸入副腎皮質ステロイドにより,その後の喘息発症が減少するかどうかは不明である.
喘息を示唆する徴候が認められた 2 歳または 3 歳の小児 285 例を,プロピオン酸フルチカゾン(1 回 88 μg,1 日 2 回)またはプラセボを 2 年間投与する群に無作為に割付けた.その後 1 年間は試験薬の投与を行わなかった.主要転帰は,観察期間中にエピソードがみられなかった日数の割合とした.
観察期間中は,エピソードがみられなかった日数,増悪件数,肺機能に両群間で有意差はみられなかった.投与期間中,吸入副腎皮質ステロイド群では,プラセボ群と比較してエピソードがみられなかった日数の割合が高く(P=0.006),増悪率(P<0.001)および長期管理薬の追加使用率(P<0.001)が低かった.吸入副腎皮質ステロイド群では,プラセボ群と比較して,24 ヵ月後の身長の伸びが平均で 1.1 cm 少なかったが(P<0.001),試験終了時には 0.7 cm 少なかった(P=0.008).吸入副腎皮質ステロイドにより,投与期間中の症状と増悪が軽減したが,進行性ではないものの一時的に成長が遅延した.
喘息リスクが高い就学前の小児において,2 年間の吸入副腎皮質ステロイド療法では,治療を行わなかった 3 年目の期間の喘息症状の発現や肺機能は変化しなかった.これらの所見は,吸入副腎皮質ステロイドの,投与中止後の疾患修飾効果を裏付けるものではない.