ホモシステイン低下と認知機能に関する対照試験
A Controlled Trial of Homocysteine Lowering and Cognitive Performance
J.A. McMahon and Others
観察研究の結果から,高齢者の血漿ホモシステイン濃度と認知機能が逆相関の関係にあることが示唆されている.われわれの目的は,血漿ホモシステイン濃度を低下させることで,健常高齢者の認知機能が改善するという仮説を検証することであった.
年齢 65 歳以上で,血漿ホモシステイン濃度が 13 μmol/L 以上の健常被験者 276 例を対象とした,2 年間の二重盲検プラセボ対照無作為化臨床試験を実施した.ホモシステイン低下療法は,葉酸(1,000 μg),ビタミン B12(500 μg),およびビタミン B6(10 mg)を含むサプリメントの連日摂取とした.認知機能検査はベースラインと治療 1 年後,2 年後に実施した.治療効果はベースライン値,性別,教育で調整した.
試験期間中,ビタミン群の血漿ホモシステイン濃度は,平均してプラセボ群よりも 4.36 μmol/L(95%信頼区間 3.81~4.91 μmol/L)低かった(P<0.001).全体として,認知機能の検査得点に,ビタミン群とプラセボ群で有意差はなかった.
本試験の結果は,ビタミン B 群によるホモシステインの低下が認知機能を改善するという仮説を支持しない.(Australian Clinical Trials 登録番号:ACTR NO 12605000030673)