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March 2, 2006 Vol. 354 No. 9

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慢性心房細動に対する全周性肺静脈アブレーション
Circumferential Pulmonary-Vein Ablation for Chronic Atrial Fibrillation

H. Oral and Others

背景

慢性心房細動治療のための全周性肺静脈アブレーション(焼灼療法)に関する,無作為化対照試験を実施した.

方 法

平均年齢(±SD)57±9 歳の慢性心房細動患者計 146 例を,最初の 3 ヵ月間のみアミオダロン投与と電気的除細動を 2 回行う群(対照群),またはこれに全周性肺静脈アブレーションを組み合せる群に無作為に割付けた.心律動は 1 年間,毎日電送により評価した.左心房径と症状の重症度を 12 ヵ月の時点で評価した.

結 果

全周性肺静脈アブレーションに割付けられた患者 77 例中,26%の患者は再発性心房細動により,6%の患者は非通常型心房粗動により,アブレーションを再施行した.intention-to-treat 解析では,1 年の時点で抗不整脈薬療法を受けずに心房細動や心房粗動の再発がなかった患者は,アブレーション群で 74%,対照群で 58%であった(P=0.05).対照群の 69 例のうち 53 例(77%)は,1 年目までに心房細動再発のため全周性肺静脈アブレーションの施行に切り替えた.また,抗不整脈薬療法やアブレーションを受けずに洞調律を示したのは,わずか 3 例(4%)であった.全周性肺静脈アブレーション後,洞調律が維持されていた患者では,左房径(12±11%,P<0.001)と重症度スコア(59±21%,P<0.001)に有意な減少がみられた.非通常型心房粗動を除いて,全周性肺静脈アブレーションに起因する合併症はなかった.

結 論

慢性心房細動患者の大部分は,全周性肺静脈アブレーションにより,抗不整脈薬療法や電気的除細動,あるいはその両方の効果とは独立して,洞調律を長期間維持することが可能である.洞調律の維持は,症状の重症度と左房径の両方の有意な減少と関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 934 - 41. )