September 28, 2006 Vol. 355 No. 13
膵島移植に用いるエドモントンプロトコールの国際臨床試験
International Trial of the Edmonton Protocol for Islet Transplantation
A.M.J. Shapiro and Others
膵島移植は,難治性低血糖症による障害がある 1 型糖尿病患者のサブグループにおいて,血糖コントロールを改善する可能性がある.国際的な多施設共同試験を行い,単一の共通プロトコール(エドモントンプロトコール)を用いた膵島移植の実施可能性と再現性を検討した.
9 ヵ所の国際施設で膵島移植を受けた,1 型糖尿病患者 36 例を登録した.膵島は,死亡したドナーの膵臓から分離し,分離後 2 時間以内に培養せずに移植した.主要エンドポイントは,最終移植から 1 年後の,インスリン離脱と適切な血糖コントロールの達成と定義した.
最終移植から 1 年後,36 例中 16 例(44%)が主要エンドポイントに達し,10 例(28%)が膵島の部分的機能を獲得した.また,10 例(28%)では移植膵島が完全に拒絶された.計 21 例(58%)では,試験期間のすべての時点で,インスリン離脱と良好な血糖コントロールが達成されたが,うち 16 例(76%)では 2 年の時点で再びインスリン投与が必要となった.また,主要エンドポイントに達した 16 例のうち,5 例(31%)では 2 年後もインスリン離脱が維持された.
エドモントンプロトコールによる膵島移植は,血糖コントロールが不安定な 1 型糖尿病患者において,持続的な内因性インスリン分泌を回復させ,血糖値を安定させるが,インスリン離脱は通常維持されない.膵島機能が持続的に維持されれば,インスリン離脱が達成されなくても,重度の低血糖の予防と糖化ヘモグロビン値の改善の両方が可能になる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00014911)