胎児貧血の予測に対する超音波ドップラー検査と羊水穿刺の比較
Doppler Ultrasonography versus Amniocentesis to Predict Fetal Anemia
D. Oepkes and Others
Rh 同種免疫を伴う妊娠では,羊水の 450 nm における吸光度変化(△OD450)を測定してビリルビン値を決定するために,侵襲的な羊水穿刺を繰り返し行って評価するが,この手法にはリスクが伴う.重篤な胎児貧血は,非侵襲的なドップラー超音波検査で中大脳動脈の最大収縮期血流速度を測定することでも予測されるが,この検査と羊水△OD450 とを比較した厳密な評価は行われていない.
間接的抗グロブリン力価が少なくとも 1:64 である,RhD,Rhc,RhE,Fya いずれかの同種免疫の妊娠女性と抗原陽性胎児を対象に,前向き国際的多施設共同研究を行った.重篤な胎児貧血の診断において,超音波ドップラー検査で中大脳動脈の最大収縮期血流速度を測定する方法の感度と精度が,羊水△OD450の測定と少なくとも同程度であるかどうかを評価した.2 つの検査法の結果を,胎児の血中ヘモグロビン値の測定により診断した,胎児貧血の発生率と比較した.
胎児 165 例中,74 例が重篤な貧血であった.重篤な胎児貧血の検出に関して,中大脳動脈の超音波ドップラー検査は,感度 88%(95%信頼区間 78~93%),特異度 82%(95%信頼区間 73~89%),精度 85%(95%信頼区間 79~90%)であった.羊水△OD450 は,感度 76%(95%信頼区間 65~84%),特異度 77%(95%信頼区間 67~84%),精度 76%(95%信頼区間 69~82%)であった.超音波ドップラー検査は,羊水△OD450測定よりも,感度が 12 パーセントポイント高く(95%信頼区間 0.3~24.0),精度が 9 パーセントポイント高かった(95%信頼区間 1.1~15.9).
超音波ドップラー検査で中大脳動脈の最大収縮期血流速度を測定する方法は,Rh 同種免疫を伴う妊娠の管理において,侵襲的検査の代りに安全に実施することができる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00295516)