November 9, 2006 Vol. 355 No. 19
マラウイにおけるクロロキンの抗マラリア効果の回復
Return of Chloroquine Antimalarial Efficacy in Malawi
M.K. Laufer and Others
マラウイは,マラリア治療において,1993 年にクロロキンの使用をやめ,アフリカで最初にスルファドキシンとピリメタミンの配合剤を用いるようになった国である.1993 年当時,クロロキンの臨床効果は 50%未満であった.その後,クロロキン耐性熱帯熱マラリアの分子マーカーの検出率が減少し,2001 年には検出されなくなったことから,マラウイでクロロキンが再び効果を示す可能性が示唆されている.
マラウイのブランタイア市において,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)によるマラリアで,合併症を伴わない患児 210 例を対象として,無作為化臨床試験を実施した.対象患児に,クロロキンまたはスルファドキシン・ピリメタミン合剤のいずれかを投与し,薬剤の抗マラリア効果を評価するため 28 日間追跡した.
試験実施計画に従って解析を行った結果,治療失敗は,クロロキン群では患児 80 例中 1 例,スルファドキシン・ピリメタミン合剤群では 87 例中 71 例に認められた.累積効果は,クロロキンで 99%(95%信頼区間 [CI] 93~100),スルファドキシン・ピリメタミン合剤で 21%(95% CI 13~30)であった.クロロキン群では,寄生虫が検出されなくなるまでの平均期間は 2.6 日(95% CI 2.5~2.8),解熱までの平均時間は 10.3 時間(95% CI 8.1~12.6)であった.試験薬に関連した予期せぬ有害事象は認められなかった.
クロロキンは,マラウイで使用が中止されてから 12 年後に,再びマラリア治療における有効性を示した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00125489)