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November 9, 2006 Vol. 355 No. 19

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原発性全身性ジストニアまたは分節性ジストニアに対する淡蒼球脳深部刺激
Pallidal Deep-Brain Stimulation in Primary Generalized or Segmental Dystonia

A. Kupsch and Others

背景

内節淡蒼球の神経刺激療法は,原発性ジストニアの症状軽減に有効であることが示されている.無作為化比較試験を行い,この外科的療法を偽刺激と比較した.

方 法

原発性の全身性ジストニアまたは分節性ジストニアの患者 40 例に脳深部刺激装置を埋め込み,3 ヵ月間,神経刺激または偽刺激に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,BurkeミFahnミMarsden ジストニア評価スケールの運動サブスコア(範囲 0~120,スコアが高いほど障害が大きい)に基づいた,ベースラインから 3 ヵ月後までの症状の重症度の変化とした.割付けについて知らない 2 人の治験医師が,ビデオに録画された様子を検討してジストニアの重症度を評価した.その後,全患者に非盲検で神経刺激療法を行い,各群とも神経刺激療法の開始から 6 ヵ月後に盲検で再評価を行った.

結 果

無作為化の 3 ヵ月後,平均(±SD)運動スコアのベースラインからの変化は,神経刺激群(-15.8±14.1 ポイント)のほうが偽刺激群(-1.4±3.8 ポイント)よりも有意に大きかった(P<0.001).非盲検の延長期間に,最初に神経刺激群に割り付けた患者では改善が持続し,偽刺激群の患者では神経刺激に切り替えると同様の効果が認められた.6 ヵ月間の神経刺激療法後のコホート集団全体を合せた解析では,運動症状すべて(発語および嚥下を除く),身体障害のレベル,QOL に,ベースライン時のスコアと比べて大きな改善が認められた.19 例で,刺激装置の埋め込み部位での感染症 4 件とリード脱落 1 件を含む,計 22 件の有害事象が発生した.もっとも頻度の高い有害事象は構音障害であった.

結 論

原発性全身性ジストニア患者と分節性ジストニア患者において,3 ヵ月間の両側淡蒼球神経刺激療法は,偽刺激と比べて有効であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00142259)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1978 - 90. )