December 7, 2006 Vol. 355 No. 23
イマチニブの投与を受けた慢性骨髄性白血病患者の 5 年間の追跡調査
Five-Year Follow-up of Patients Receiving Imatinib for Chronic Myeloid Leukemia
B.J. Druker and Others
慢性骨髄性白血病(CML)の原因は,構成的に活性化した BCR-ABL チロシンキナーゼである.イマチニブはこのキナーゼを阻害し,短期研究では,新たに診断された慢性期 CML においてインターフェロン α+シタラビンよりも優れていた.初期治療としてイマチニブ投与を受けた CML 患者を 5 年間追跡した.
患者 553 例をイマチニブ投与,553 例をインターフェロン α+シタラビン投与に無作為に割り付けた.その後,全生存率と無イベント生存率,増悪期または急性転化期への進行,血液学的反応,細胞遺伝学的反応,分子的反応,有害事象を評価した.
追跡期間の中央値は 60 ヵ月であった.イマチニブ投与患者における細胞遺伝学的完全寛解の最良の累積率の Kaplan-Meier 推定値は,12 ヵ月の時点では 69%,60 ヵ月の時点では 87%であった.推定で患者の 7%が増悪期または急性転化期に進行した.初期治療としてイマチニブ投与を受けた患者の 60 ヵ月時点での全生存率の推定値は,89%であった.細胞遺伝学的完全寛解を示したか BCR-ABL 転写産物量が 3 log 以上低下した患者では,疾患が進行するリスクが,細胞遺伝学的完全寛解を示さなかった患者に比べ有意に低かった(P<0.001).グレード 3 または 4 の有害事象は時間とともに減少し,有害事象のプロファイルに臨床的に有意な変化はみられなかった.
5 年間の追跡後,イマチニブを初期治療に用いた慢性期 CML の継続的治療は,患者の大部分において持続的な反応を誘導することが明らかになった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00006343)