December 14, 2006 Vol. 355 No. 24
抗原連続変異により生じたインフルエンザに対する不活化ワクチンと弱毒生ワクチンによる予防
Prevention of Antigenically Drifted Influenza by Inactivated and Live Attenuated Vaccines
S.E. Ohmit and Others
インフルエンザワクチンの効果は,流行ウイルスがワクチンウイルスの抗原連続変異で生じた場合,年々低下する可能性がある.
2004~05 年のインフルエンザシーズンに,健常成人を対象に不活化ワクチンと弱毒生ワクチンの無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施し,絶対効果と相対効果を推定した.
2004 年 10~12 月に,計 1,247 例にワクチン接種を行った.ミシガン州では,2005 年 1 月に,A(H3N2)型ウイルスの抗原連続変異により生じた A/California/07/2004 系統と 2 系統の B 型ウイルスによるインフルエンザの流行が始った.両ウイルス型に対する不活化ワクチンの絶対効果は,細胞培養によるウイルス分離で判定した場合 77%(95%信頼区間 [CI] 37~92),細胞培養によるウイルス分離またはリアルタイム PCR によるウイルス検出で判定した場合 75%(95% CI 42~90),ウイルス分離または血清抗体価の上昇で判定した場合 67%(95% CI 16~87)であった.弱毒生ワクチンの絶対効果はそれぞれ 57%(95% CI -3~82),48%(95% CI -7~74),30%(95% CI -57~67)であった.両ワクチンの効果の差は,主に B 型ウイルスに対する弱毒生ワクチンの予防効果の低下に関連すると考えられた.
2004~05 年のインフルエンザシーズンにおいて,大部分の流行ウイルスはワクチンウイルスに類似していなかったものの,不活化ワクチンは,健常成人において,検査により確認されたインフルエンザに起因する症候性疾患に対して予防効果を示した.弱毒生ワクチンもインフルエンザ疾患に対し予防効果を示したが,不活化ワクチンと比べて効果が低かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00133523)