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July 20, 2006 Vol. 355 No. 3

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学術医学文献の原著者にみられる「男女差」― 35 年の全体像
The “Gender Gap” in Authorship of Academic Medical Literature ― A 35-Year Perspective

R. Jagsi and Others

背景

医師として働く女性はこの 40 年で増加しているが,学術分野としての医学では,性差に関する問題が根強く残っている.昇進は,査読を受けた原著論文に大きく左右されるため,われわれは,過去 35 年間に,特定の出版物の著者の中で,女性医師の研究者が代表であったものについて検討した.

方 法

6 誌の著名な医学雑誌,New England Journal of Medicine(NEJM),Journal of the American Medical Association(JAMA),Annals of Internal Medicine(Ann Intern Med),Annals of Surgery(Ann Surg),Obstetrics & Gynecology(Obstet Gynecol),Journal of Pediatrics(J Pediatr)に掲載された原著論文を,筆頭著者および論文責任者(最後に掲載される著者)の性別で分類した.また,NEJM および JAMA のゲスト論説の著者の性別についても検討した.1970 年,1980 年,1990 年,2000 年,2004 年のデータを収集した.解析は,医学博士号をもった米国の施設に所属する著者に限定して実施した.

結 果

医学博士号をもつ米国の原著論文の著者 7,249 名のうち,98.5%の性別が判明した.女性の筆頭著者の割合は,1970 年の 5.9%から 2004 年には 29.3%に増加し(P<0.001),女性の論文責任者の割合は,同じ期間に 3.7%から 19.3%に増加した(P<0.001).女性著者の割合がもっとも急激に増加したのは Obstet Gynecol(1970 年の筆頭著者 6.7%,論文責任者 6.8%から,2004 年には筆頭著者 40.7%,論文責任者 28.0%に増加)と J Pediatr(1970 年の筆頭著者 15.0%,論文責任者 4.3%から,2004 年には筆頭著者 38.9%,論文責任者 38.0%に増加)で,女性著者の割合が依然として低いのは Ann Surg(1970 年は筆頭著者 2.3%,論文責任者 0.7%,2004 年には筆頭著者 16.7%,論文責任者 6.7%)であった.2004 年には,NEJM に掲載されたゲスト論説の著者の 11.4%と,JAMA に掲載されたゲスト論説の著者の 18.8%が女性であった.

結 論

この 40 年間に,米国では,原著論文の医師の筆頭著者および論文責任者に女性の占める割合が顕著に増加している.それにもかかわらず,調査を行った医学雑誌の原著論文およびゲスト論説では,女性の著者は依然として少数派である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 281 - 7. )