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August 31, 2006 Vol. 355 No. 9

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1960~2000 年の米国における医療費の真価
The Value of Medical Spending in the United States, 1960-2000

D.M. Cutler, A.B. Rosen, and S. Vijan

背景

医療利用の増加は,医療費の増加を招いている.医療費増加の意義について検討するため,1960~2000 年における平均余命の延びと医療費の増加を比較した.

方 法

1960 年,1970 年,1980 年,1990 年,2000 年の平均余命を,4 つの年齢群において推定した.非医学的要因が生存に及ぼす影響を調整するため,基本ケース解析では,平均余命の延びの 50%を医療によるものと仮定した.補正後の平均余命の延びを,同年の生涯医療費と比較した.

結 果

1960~2000 年に,新生児の平均余命は 6.97 年延びた.インフレ調整後の生涯医療費は約 69,000 ドル増加し,余命延長 1 年当りの費用は 19,900 ドルであった.余命延長 1 年当りの費用は,1970 年代の 7,400 ドルから,1990 年代には 36,300 ドルに増加した.1960~2000 年のあいだの余命延長 1 年当りの平均費用は,15 歳では約 31,600 ドル,45 歳では約 53,700 ドル,65 歳では約 84,700 ドルであった.65 歳では,費用は平均余命よりも急速に増加し,余命延長 1 年当りの費用は,1980~90 年では 121,000 ドル,1990~2000 年では 145,000 ドルであった.

結 論

平均して,1960 年以降の医療費の増加には,それ相応の意義がある.一方,高齢者における 1980 年以降の医療費の増加は,余命延長 1 年当りの費用が高いことと関連している.国家の関心は医療費の増加に向けられているが,こうした医療費の増加が健康上の利益をもたらしていることも考慮すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 920 - 7. )