The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 8, 2007 Vol. 356 No. 6

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

多嚢胞性卵巣症候群による不妊症に対するクロミフェン,メトホルミン,および両剤併用の比較
Clomiphene, Metformin, or Both for Infertility in the Polycystic Ovary Syndrome

R.S. Legro and Others

背景

多嚢胞性卵巣症候群は不妊症の原因となることが多い.排卵を誘発するためにクロミフェンとインスリン抵抗性改善薬を単独あるいは併用で使用するが,いずれの方法が優れているかは不明である.

方 法

多嚢胞性卵巣症候群の不妊症の女性 626 例を,クエン酸クロミフェン+プラセボ,徐放性メトホルミン+プラセボ,メトホルミンとクロミフェンの併用投与を,それぞれ最大 6 ヵ月間受ける群に無作為に割り付けた.妊娠が確認された場合は投与を中止し,被験者を分娩まで追跡した.

結 果

生児出生率はクロミフェン群で 22.5%(209 例中 47 例),メトホルミン群で 7.2%(208 例中 15 例),併用投与群で 26.8%(209 例中 56 例)であった(メトホルミンとクロミフェン,メトホルミンと併用投与の両比較について P<0.001,クロミフェンと併用投与の比較について P=0.31).妊娠に占める多胎妊娠率は,クロミフェン群で 6.0%,メトホルミン群で 0%,併用投与群で 3.1%であった.妊娠第 1 期の流産率に,治療群間で有意差はなかった.しかし,排卵のあった被験者における妊娠率は,メトホルミン群(21.7%)で,クロミフェン群(39.5%,P=0.002),併用投与群(46.0%,P<0.001)よりも有意に低かった.有害事象の発生率は,妊娠合併症を除き,すべての治療群でほぼ同等であったが,メトホルミン群ではクロミフェン群に比べて消化管の副作用の頻度が高く,血管運動症状と排卵症状の頻度が低かった.

結 論

多嚢胞性卵巣症候群の不妊症の女性において,生児出生のためにはクロミフェンがメトホルミンよりも優れているが,多胎分娩が問題となる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00068861)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 551 - 66. )