November 1, 2007 Vol. 357 No. 18
ゾレドロン酸と大腿骨頸部骨折後の臨床症状を伴う骨折および死亡率
Zoledronic Acid and Clinical Fractures and Mortality after Hip Fracture
K.W. Lyles and Others
大腿骨頸部骨折後には死亡率が上昇するため,転帰を改善する戦略が必要とされている.
この無作為化二重盲検プラセボ対照試験では,患者 1,065 例を年 1 回のゾレドロン酸の静脈内投与(1 回 5 mg),1,062 例をプラセボ投与に割り付けた.大腿骨頸部骨折の外科的修復後 90 日以内に,1 回目の投与を行った.患者全例(平均年齢 74.5 歳)に,ビタミン D とカルシウムの補充を行った.追跡期間の中央値は 1.9 年であった.主要エンドポイントは,臨床症状を伴う新規の骨折とした.
臨床症状を伴う新規の骨折全体の発生率は,ゾレドロン酸群で 8.6%,プラセボ群で 13.9%であり,ゾレドロン酸によりリスクが 35%低下した(P=0.001).臨床症状を伴う脊椎骨折の新規発生率はそれぞれ 1.7%と 3.8%であり(P=0.02),それ以外の骨折の新規発生率はそれぞれ 7.6%と 10.7%であった(P=0.03).安全性解析によると,ゾレドロン酸群の 1,054 例中 101 例(9.6%)と,プラセボ群の 1,057 例中 141 例(13.3%)が死亡し,ゾレドロン酸群では全死因死亡が 28%減少した(P=0.01).ゾレドロン酸群の患者でみられたもっとも頻度の高い有害事象は,発熱,筋肉痛,筋骨格系の疼痛であった.顎骨壊死の症例は報告されず,骨折の治癒に対する有害作用は認められなかった.心房細動や脳卒中を含む腎臓および心血管系の有害事象の発生率は,両群で同等であった.
転倒など軽度の外傷による大腿骨頸部骨折の修復後 90 日以内に開始する年 1 回のゾレドロン酸の投与は,臨床症状を伴う新規の骨折の発生率の低下および生存率の改善と関連した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00046254)
本論文(10.1056/NEJMoa074941)は,2007 年 9 月 17 日に www.nejm.org で発表された.