November 1, 2007 Vol. 357 No. 18
一般集団における脳 MRI の偶発的所見
Incidental Findings on Brain MRI in the General Population
M.W. Vernooij and Others
脳の磁気共鳴画像検査(MRI)は,研究および臨床医学のいずれにおいても利用が増えており,スキャン機器や MRI シーケンスの改良が続けられている.このような進歩により,脳腫瘍,動脈瘤,無症状の血管病変といった予期しない無症候性の脳異常が発見される可能性がある.われわれは,一般集団において,そのような脳の偶発的所見の存在を明らかにする研究を行った.
対象者は,標準化されたプロトコールに従って高解像度脳構造 MRI(1.5 T)が実施された住民ベースのロッテルダム研究(Rotterdam Study)の 2,000 例(平均年齢 63.3 歳,範囲 45.7~96.7 歳)とした.訓練を受けた評価者 2 名が,無症候性脳梗塞を含むすべての脳異常を記録した.自動化された後処理法により,白質病変の容積をミリリットル単位で定量した.経験豊富な神経放射線科医 2 名が,すべての偶発的所見を評価した.すべての診断は MRI 所見に基づいて行い,組織学的検査による追加確認は行わなかった.
無症候性脳梗塞は 145 例(7.2%)で認められた.梗塞以外の所見のうち,脳動脈瘤(1.8%)と髄膜腫を主とする良性原発腫瘍(1.6%)がもっとも高頻度でみられた.無症候性脳梗塞と髄膜腫の有病率,および白質病変の容積は加齢に伴い増加したが,動脈瘤には年齢に関連した有病率の増加はみられなかった.
一般集団において,無症状の血管病変など,脳の偶発的所見が MRI 上で認められる頻度は高い.もっとも高頻度の所見は脳梗塞であり,次いで脳動脈瘤と良性原発腫瘍が多く認められる.臨床管理のために,これら病変の自然経過に関する情報が必要である.