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November 15, 2007 Vol. 357 No. 20

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結腸直腸癌の治療のためのセツキシマブ
Cetuximab for the Treatment of Colorectal Cancer

D.J. Jonker and Others

背景

上皮成長因子受容体(EGFR)に対する IgG1 キメラモノクローナル抗体であるセツキシマブ(cetuximab)は,EGFR を発現する結腸直腸癌に対して活性を示す.

方 法

2003 年 12 月~2005 年 8 月に,免疫組織化学的に検出可能な EGFR を発現する結腸直腸癌の患者で,フルオロピリミジン(fluoropyrimidine),イリノテカン,オキサリプラチンによる治療歴があるか,これらの薬剤による治療が禁忌である患者 572 例を,セツキシマブ 400 mg/m2 体表面積を初回投与し,その後 250 mg/m2 を週 1 回投与+対症療法(best supportive care)を行う群(287 例)と,対症療法単独群(285 例)のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存期間とした.

結 果

対症療法単独と比較して,セツキシマブによる治療は,全生存期間(死亡のハザード比 0.77,95%信頼区間 [CI] 0.64~0.92,P=0.005),および無増悪生存期間(増悪または死亡のハザード比 0.68,95% CI 0.57~0.80,P<0.001)の有意な改善と関連していた.これらの利益は,多変量 Cox 比例ハザードモデルで補正後も変わらなかった.全生存期間の中央値は,セツキシマブ群で 6.1 ヵ月,対症療法単独群で 4.6 ヵ月であった.部分寛解は,セツキシマブ群の 23 例(8.0%)でみられたが,対症療法単独群ではみられなかった(P<0.001).疾患は,セツキシマブ群の 31.4%,対症療法単独群の 10.9%で安定していた(P<0.001).セツキシマブ群では,QOL がよりよく維持され,身体機能や全般的健康状態スコアの低下がより少なかった(ともに P<0.05).セツキシマブ治療は特徴的な皮疹と関連しており,グレード 2 以上の皮疹は生存期間の改善と強く関連していた(死亡のハザード比 0.33,95% CI 0.22~0.50,P<0.001).グレード 3 以上の有害事象の発生率は,セツキシマブ群で 78.5%,対症療法単独群で 59.1%であった(P<0.001).

結 論

セツキシマブにより,ほかの治療が奏効しなかった結腸直腸癌患者において,全生存期間と無増悪生存期間が改善し,QOLが維持される.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00079066)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 2040 - 8. )