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July 26, 2007 Vol. 357 No. 4

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大規模な社会的ネットワークにおける 32 年間にわたる肥満の拡大
The Spread of Obesity in a Large Social Network over 32 Years

N.A. Christakis and J.H. Fowler

背景

肥満の有病率は過去 30 年間に大幅に上昇している.肥満の拡大に寄与する可能性のある因子として,人から人への肥満の拡大の特徴および範囲について定量分析を行った.

方 法

フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)の一環として,1971~2003 年に,12,067 人から成り緊密に関連し合う社会的ネットワークを対象に繰り返し評価を行った.全対象者の体格指数(BMI)を入手した.経時的統計モデルを用いて,ある人の体重増加がその人の友人,兄弟姉妹,配偶者,および隣人の体重増加と関連しているかどうかについて調べた.

結 果

肥満者(BMI [体重(kg)を身長(m)の二乗で除した値] ≧30)の識別可能な集団は,すべての時点でネットワーク内に存在し,3 分解度まで拡大した.これらの集団は,肥満者同士が社会的つながりを選択的に形成することのみに起因するものではないようであった.1 人の人が肥満になる可能性は,一定期間内に肥満になった友人がいる場合に 57%増加した(95%信頼区間 [CI] 6~123).成人の 2 人の兄弟姉妹同士では,1 人が肥満になった場合,もう 1 人が肥満になる可能性は 40%増加した(95% CI 21~60).配偶者が肥満になった場合,他方の配偶者が肥満になる可能性は 37%増加した(95% CI 7~73).地理的に近接している隣人同士では,このような影響は観察されなかった.異性間に比べて,同性間のほうが影響が相対的に大きかった.禁煙の拡大は,ネットワークにおける肥満の拡大の主な原因とはならなかった.

結 論

ネットワーク現象は,肥満の生物学的特性および行動学的特性に関連しているとみられ,肥満は社会的つながりを通して拡大すると考えられる.これらの知見は,臨床的介入および公衆衛生的介入にとって重要なものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 370 - 9. )