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August 16, 2007 Vol. 357 No. 7

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睡眠時周期性四肢運動の遺伝的危険因子
A Genetic Risk Factor for Periodic Limb Movements in Sleep

H. Stefansson and Others

背景

下肢静止不能症候群(restless legs syndrome;RLS)は,頻度の高い神経障害であり,脚を動かさずにいられない衝動を特徴とする.RLS は,睡眠障害の重大な原因の 1 つである.RLS 患者の大多数では睡眠時に周期的な四肢運動がみられ,他覚的な生理学的指標となる.

方 法

RLS に関与する遺伝子配列の変異を調査することを目的として,ゲノムワイド関連研究 1 件と,再現研究 2 件を実施した.表現型の不均一性を最小限にするため,睡眠時周期性四肢運動が他覚的に明らかな RLS 患者に焦点を当てた.鉄分の減少と RLS の病態発生との関連が示されているため,血清フェリチン値を測定した.

結 果

アイスランドの RLS 患者および睡眠時周期性四肢運動が認められる患者の検出サンプルにおいて,染色体 6p21.2 上の BTBD9 のイントロンにある共通の変異と,ゲノム規模での有意な関連が認められた(オッズ比 1.8,P=2×10-9).この関連は,アイスランドの別のサンプル(オッズ比 1.8,P=4×10-4)や,米国のサンプル(オッズ比 1.5,P=4×10-3)でも再現された.この変異を有する場合,周期性四肢運動を伴う RLS の人口寄与危険度は約 50%であった.こうした変異と,RLS を伴わない睡眠時周期性四肢運動が関連すること(ならびに周期性四肢運動を伴わない RLS にはこうした関連がないこと)から,睡眠時周期性四肢運動の遺伝的決定因子が同定されたことが示唆される(オッズ比 1.9,P=1×10-17).血清フェリチン値は,リスクのある変異の対立遺伝子それぞれにつき 13%低下した(95%信頼区間 5~20,P=0.002).

結 論

本研究により,睡眠時周期性四肢運動に対する感受性に関連する変異が発見された.変異と鉄分の貯蔵の逆相関は,この疾患の病態発生に鉄分の減少が関与していることが疑われていることと一致する.

本論文(10.1056/NEJMoa072743)は,2007 年 7 月 18 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 639 - 47. )