March 13, 2008 Vol. 358 No. 11
I 期肺癌における DNA メチル化マーカーと早期再発
DNA Methylation Markers and Early Recurrence in Stage I Lung Cancer
M.V. Brock and Others
非小細胞肺癌(NSCLC)は,早期に最適な外科的治療を行っても,多くの患者が再発により死亡する.われわれは,遺伝子のメチル化と腫瘍の再発との関連を検討した.
治癒切除を行ったが切除後 40 ヵ月以内に再発した I 期 NSCLC 患者 51 例(症例患者)と,治癒切除を行い切除後 40 ヵ月以内に再発しなかった I 期 NSCLC 患者 116 例(対照)を,年齢,NSCLC の病期,性別,手術日でマッチさせた.腫瘍とリンパ節の 7 つの遺伝子のメチル化が,腫瘍の再発と関連するかどうかを検討した.
多変量モデルにおいて,腫瘍および組織学的に腫瘍陰性のリンパ節におけるサイクリン依存性キナーゼ阻害因子 2A 遺伝子 p16,H-カドヘリン遺伝子 CDH13,Ras 関連ドメインファミリー 1 遺伝子 RASSF1A,大腸腺腫様ポリポーシス遺伝子 APC のプロモーターのメチル化は,NSCLC の病期,年齢,性別,人種,喫煙歴,腫瘍の組織学的特徴とは独立に,腫瘍の再発と関連していた.腫瘍と縦隔リンパ節の p16 および CDH13 プロモーター領域のメチル化が,最初のコホート集団ではオッズ比 15.50 で癌の再発と関連し,最初のコホートと I 期 NSCLC 患者 20 例を含む独立した検証コホートを合わせると,オッズ比 25.25 で再発と関連していた.
根治目的の外科的治療を受けた I 期 NSCLC 患者では,4 つの遺伝子のプロモーター領域のメチル化が早期再発と関連している.