The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 10, 2008 Vol. 358 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

血管イベントの高リスク患者におけるテルミサルタン,ラミプリル,および 両剤併用の比較
Telmisartan, Ramipril, or Both in Patients at High Risk for Vascular Events

The ONTARGET Investigators

背景

心不全のない血管疾患患者または高リスクの糖尿病患者において,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬により心血管系の原因による死亡と罹患率が低下するが,そのような患者におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の役割は不明である.血管疾患患者または高リスクの糖尿病患者において,ACE 阻害薬ラミプリル(ramipril),ARB テルミサルタン,および両剤の併用を比較した.

方 法

3 週間の単純盲検法による試験導入期間後,二重盲検法による無作為化を行い,8,576 例をラミプリル 10 mg/日投与,8,542 例をテルミサルタン 80 mg/日投与,8,502 例を両剤投与(併用療法)に割り付けた.主要複合評価項目は,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中,心不全による入院とした.

結 果

平均血圧は,テルミサルタン群(0.9/0.6 mmHg のより大きな低下)および併用療法群(2.4/1.4 mmHg のより大きな低下)のほうが,ラミプリル群よりも低かった.追跡期間の中央値 56 ヵ月の時点で主要評価項目が発生したのは,ラミプリル群では 1,412 例(16.5%)であったのに対し,テルミサルタン群では 1,423 例(16.7%)であった(相対リスク 1.01,95%信頼区間 [CI] 0.94~1.09).テルミサルタン群ではラミプリル群と比較して,咳嗽(1.1% 対 4.2%,P<0.001)および血管性浮腫(0.1% 対 0.3%,P=0.01)の発生率が低く,低血圧症状の発生率(2.7% 対 1.7%,P<0.001)が高かった.失神の発生率は両群で同等であった(0.2%).併用療法群では,主要評価項目は 1,386 例で発生し(16.3%,相対リスク 0.99,95% CI 0.92~1.07),ラミプリル群と比較して低血圧症状(4.8% 対 1.7%,P<0.001),失神(0.3% 対 0.2%,P=0.03),腎機能障害(13.5% 対 10.2%,P<0.001)のリスクが高かった.

結 論

血管疾患患者または高リスクの糖尿病患者において,テルミサルタンはラミプリルと同等の有効性を有し,血管性浮腫がより少ないことと関連していた.両剤の併用は有害事象の増加と関連し,さらなる利益は得られなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00153101)

本論文(10.1056/NEJMoa0801317)は,2008 年 3 月 31 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1547 - 59. )