April 24, 2008 Vol. 358 No. 17
突然の心停止に対する家庭での自動体外除細動器の使用
Home Use of Automated External Defibrillators for Sudden Cardiac Arrest
G.H. Bardy and Others
病院外で突然心停止が起こる頻度がもっとも高い場所は家庭であり,この状況下で適時に治療を行うことは救急医療の課題である.したがって,自動体外除細動器(AED)を家庭で使用することで,リスクのある患者の生存を改善する機会が得られる可能性がある.
前壁心筋梗塞の既往があり,植込み型除細動器の対象とならない患者 7,001 例を,家庭での突然の心停止に対し,次の 2 つの対処法のいずれかを行う群に無作為に割り付けた;救急に電話し心肺蘇生術(CPR)を行う対照群と,AED を使用し,その後救急に電話し CPR を行う群.主要転帰は全死因死亡とした.
患者の年齢中央値は 62 歳で,うち 17%は女性であった.追跡期間の中央値は 37.3 ヵ月であった.全体で 450 例が死亡し,内訳は対照群 3,506 例中 228 例(6.5%),AED 群 3,495 例中 222 例(6.4%)であった(ハザード比 0.97,95%信頼区間 0.81~1.17,P=0.77).事前に規定した主要サブグループで死亡率に有意差はなかった.頻脈性不整脈による突然の心停止によるものと考えられた死亡例は 160 例(35.6%)のみであった.これらの死亡のうち,家庭で発生したのは 117 例で,うち 58 例が目撃されていた.AED は 32 例に使用された.これらの患者の中で,14 例は適切な電気ショックを受けることができ,4 例は生存して退院した.不適切な電気ショックに関する報告はなかった.
植込み型除細動器の対象とならない前壁心筋梗塞の生存者において,家庭で AED を使用しても,従来の蘇生法に頼る方法に比べて,全生存率に有意な改善はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00047411)
本論文(10.1056/NEJMoa0801651)は,2008 年 4 月 1 日に www.nejm.org で発表された.