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May 1, 2008 Vol. 358 No. 18

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80 歳以上の患者に対する高血圧の治療
Treatment of Hypertension in Patients 80 Years of Age or Older

N.S. Beckett and Others

背景

80 歳以上の高血圧患者に対する治療が有益であるかどうかは明らかでない.降圧治療により脳卒中のリスクは低下すると考えられるが,死亡リスクが上昇する可能性があることが示唆されている.

方 法

80 歳以上で収縮期血圧 160 mmHg 以上が持続している,ヨーロッパ,中国,オーストラレーシア,チュニジアの患者 3,845 例を,利尿薬インダパミド(徐放剤,1.5 mg)を投与する群と,マッチするプラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けた.目標血圧 150/80 mmHg を達成するため,必要な場合にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬ペリンドプリル(2 mg または 4 mg)またはマッチするプラセボを追加投与した.主要エンドポイントは,致死的あるいは非致死的な脳卒中とした.

結 果

実薬群(1,933 例)とプラセボ群(1,912 例)はよくマッチしており(平均年齢 83.6 歳,平均座位血圧 173.0/90.8 mmHg),患者の 11.8%に心血管疾患の既往があった.追跡調査期間の中央値は 1.8 年であった.2 年目の時点で,平均座位血圧は,実薬群のほうがプラセボ群よりも 15.0/6.1 mmHg 低かった.intention-to-treat 解析によると,実薬治療は,致死的・非致死的脳卒中の発生率の 30%の低下(95%信頼区間 [CI] -1~51,P=0.06),脳卒中による死亡率の 39%の低下(95% CI 1~62,P=0.05),全死因死亡率の 21%の低下(95% CI 4~35,P=0.02),心血管系の原因による死亡率の 23%の低下(95% CI -1~40,P=0.06),心不全の発生率の 64%の低下(95% CI 42~78,P<0.001)と関連していた.重篤な有害事象の報告は,実薬群のほうが少なかった(358 件に対し,プラセボ群 448 件,P=0.001).

結 論

この結果は,80 歳以上の高齢者に対するペリンドプリルの併用・非併用下でのインダパミド(徐放剤)を用いた降圧治療は,有益であるというエビデンスを示している.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00122811)

本論文(10.1056/NEJMoa0801369)は,2008 年 3 月 31 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1887 - 98. )