The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

May 29, 2008 Vol. 358 No. 22

進行疾患におけるオピオイド誘発性便秘に対するメチルナルトレキソンの効果
Methylnaltrexone for Opioid-Induced Constipation in Advanced Illness

J. Thomas and Others

背景

便秘は,オピオイド治療による副作用であり苦痛を伴う.μ オピオイド受容体拮抗薬のメチルナルトレキソン(methylnaltrexone)は第 4 級アミンであるため,血液脳関門の通過能が限られている.進行疾患患者において,オピオイド誘発性便秘に対するメチルナルトレキソン皮下投与の安全性と有効性について検討した.

方 法

オピオイド投与を 2 週間以上受け,安定用量のオピオイドと下剤の投与を 3 日以上受けてもオピオイド誘発性便秘の軽減がみられない患者計 133 例を,メチルナルトレキソン皮下投与群(用量 0.15 mg/kg 体重)とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付け, 1 日おきに 2 週間投与した.共通主要転帰は,試験薬初回投与後 4 時間以内の便通(排便),および最初の 4 回の投与のうち 2 回目以降の投与後 4 時間以内の便通とした.この段階を完了した患者を,3 ヵ月の非盲検延長試験に適格とした.

結 果

初回投与後 4 時間以内に便通があった患者は,メチルナルトレキソン群で 48%,プラセボ群で 15%であった.また,最初の 4 回の投与のうち 2 回目以降の投与後 4 時間以内に,応急的な下剤なしで便通があったのは,メチルナルトレキソン群で 52%,プラセボ群で 8%であった(両比較について P<0.001).奏効率は,延長試験期間中も一定していた.便通までの時間の中央値は,メチルナルトレキソン群のほうがプラセボ群よりも有意に短かった.中枢神経系オピオイド受容体を介した離脱症状の所見,および疼痛スコアの変化は観察されなかった.もっとも頻度の高かった有害事象は,腹痛と鼓腸であった.

結 論

メチルナルトレキソンの皮下投与は,進行疾患でオピオイド誘発性便秘を有する患者において,便通を急速に誘発した.この治療による中枢性鎮痛薬の効果への影響はないとみられ,オピオイド離脱症状を促進することもないようであった.(Clinical Trials.gov 番号:NCT00402038)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 2332 - 43. )