The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 31, 2008 Vol. 358 No. 5

2002~06 年のイラクにおける暴力に関連した死亡者数
Violence-Related Mortality in Iraq from 2002 to 2006

Iraq Family Health Survey Study Group

背景

2003 年 3 月に米国によるイラク侵攻が始まって以来,2006 年 6 月までのイラクにおける推定死亡者数は,47,668 人(イラク死亡者集計 [Iraq Body Count])~601,027 人(イラク全国調査)と幅がある.イラク家庭健康調査(Iraq Family Health Survey;IFHS)が 2006 年と 2007 年に実施されたが,その結果はイラクにおける死亡者数について新たな知見を提供している.

方 法

IFHS は,イラクを代表する 9,345 世帯を対象に,2001 年 6 月以降の世帯内の死亡情報を収集した調査である.われわれは,複数の方法を用いて過少報告のレベルを推定し,報告された死亡率とその他の情報源からの死亡率とを比較した.

結 果

調査員は,調査期間中に 1,086 世帯集団の 89.4%を訪問した.世帯の回答率は 96.2%であった.2002 年 1 月~2006 年 6 月に,1,325 人の死亡が報告された.未調査集団について補正後,1,000 人年あたりの全死亡率は 5.31 であり(95%信頼区間 [CI] 4.89~5.77),暴力に関連した死亡率は推定 1.09 であった(95% CI 0.81~1.50).過少報告を考慮に入れると,暴力に関連した死亡率は 1.67 と推定された(95%不確実性範囲 1.24~2.30).この死亡率から,2003 年 3 月~2006 年 6 月の暴力に関連した死亡者数は 151,000 人と推定された(95%不確実性範囲 104,000~223,000).

結 論

暴力は,イラク人成人の主要死因であり,2003 年の侵攻から最初の 3 年間では,年齢 15~59 歳の男性における第一の死因であった.今回の推定範囲は,最近の調査に基づく推定値に比べて顕著に低いが,それでもなお大量の死亡者がいることを示すものである.しかもそれは,進行中の人道的危機がもたらす,人と健康に関わるさまざまな帰結の一端にすぎない.

本論文(10.1056/NEJMsa0707782)は,2008 年 1 月 9 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 484 - 93. )