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日本語アブストラクト

February 28, 2008 Vol. 358 No. 9

敗血症性ショック患者におけるバソプレシン投与とノルエピネフリン投与の比較
Vasopressin versus Norepinephrine Infusion in Patients with Septic Shock

J.A. Russell and Others

背景

バソプレシンは,難治性の敗血症性ショックにおいて血圧を維持するカテコールアミンの補助薬として一般に使用されているが,その死亡率に対する影響は明らかにされていない.われわれは,低用量のバソプレシンは,ノルエピネフリンに比べて,従来の(カテコールアミン系)昇圧薬による治療を受けている敗血症性ショック患者の死亡率を低下させるという仮説を立てた.

方 法

多施設共同無作為化二重盲検試験において,敗血症性ショックを呈し最小用量 5 μg/分のノルエピネフリンを投与されている患者を,非盲検での昇圧薬投与に加えて,低用量のバソプレシンを投与する群(0.01~0.03 U/分)と,ノルエピネフリンを投与する群(5~15 μg/分)のいずれかに割り付けた.目標血圧を維持するため,昇圧薬の投与はすべてプロトコールに従って漸増・漸減した.主要エンドポイントは,投与開始後 28 日目の死亡率とした.

結 果

計 778 例を無作為化し,試験薬を投与し(396 例にバソプレシン,382 例にノルエピネフリンを投与),解析に組み入れた.バソプレシン群とノルエピネフリン群で,28 日目の死亡率(35.4%と 39.3%,P=0.26),および 90 日目の死亡率(43.9%と 49.6%,P=0.11)に有意差は認められなかった.重篤な有害事象の全発生率にも有意差は認められなかった(10.3%と 10.5%,P=1.00).前向きに定義した重症度のより低い敗血症性ショックの患者層では,28 日目の死亡率は,バソプレシン群のほうがノルエピネフリン群よりも低かった(26.5% 対 35.7%,P=0.05).重症度のより高い患者層では,28 日目の死亡率に有意差は認められなかった(44.0%と 42.5%,P=0.76).これら 2 層間の不均一性に関する検定では有意性は認められなかった(P=0.10).

結 論

カテコールアミン系昇圧薬による治療を受けている敗血症性ショック患者において,低用量のバソプレシンを用いても,ノルエピネフリンと比べて死亡率は低下しなかった.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN94845869)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 877 - 87. )