October 9, 2008 Vol. 359 No. 15
2 型糖尿病に対する厳格な血圧コントロール後の長期追跡調査
Long-Term Follow-up after Tight Control of Blood Pressure in Type 2 Diabetes
R.R. Holman and Others
英国糖尿病前向き研究(United Kingdom Prospective Diabetes Study:UKPDS)の患者に対して試験後モニタリングを行い,試験期間中の厳格な血圧コントロールによって達成された細小血管・大血管障害リスクの低下が維持されるかどうかを検討した.
新たに 2 型糖尿病と診断された UKPDS 参加患者 5,102 例のうち,高血圧である 1,148 例を,1987 年から 4 年間にわたり,厳格な血圧コントロールレジメンと緩やかな血圧コントロールレジメンのいずれかに無作為に割り付けた.試験後モニタリングを受けた 884 例に,最初の 5 年間は UKPDS を受けた病院を毎年受診するよう依頼したが,割り付けられたレジメンでの治療継続は試みなかった.患者と一般医が記入する年 1 回の質問票を,1~5 年目では受診できなかった患者の追跡調査に使用し,6~10 年目ではすべての患者に使用した.事前に規定した 7 つの複合臨床エンドポイントを,以前の割付け区分に従って,intention-to-treat に基づいて検討した.
試験期間中にみられた両群間の血圧の差は,試験終了後 2 年以内に消失した.試験期間中,厳格な血圧コントロールを受けた群では,緩やかな血圧コントロールを受けた群と比較して,糖尿病関連のすべてのエンドポイント,糖尿病関連死,細小血管障害,脳卒中の相対リスクの有意な低下が認められたが,試験後の追跡調査期間には維持されなかった.試験期間中も試験後も,心筋梗塞と全死因死亡のリスク低下はみられなかったが,厳格な血圧コントロールに関連した末梢血管障害リスクの低下が有意になった(P=0.02).
試験期間中の血圧コントロールの改善による利益は,血圧の群間差が消失した時点で維持されなかった.2 型糖尿病と高血圧を有する患者における血圧コントロールの早期改善は,合併症リスクの低下と関連していたが,その利益を維持するためには良好な血圧コントロールを継続しなければならない.(UKPDS 81,Current Controlled Trials 番号:ISRCTN75451837)
本論文(10.1056/NEJMoa0806359)は,2008 年 9 月 10 日に www.nejm.org で発表された.