早期産の長期の医学的帰結と社会的帰結
Long-Term Medical and Social Consequences of Preterm Birth
D. Moster, R.T. Lie, and T. Markestad
周産期医療の進歩により早産児の生存数は増加している.しかし,早産児が成人したあとの,さまざまな要求に対する対処能力については懸念がある.
医学的障害および社会的能力を示す転帰を検討するため,ノルウェーにおける複数の全員加入の全国登録を組み合わせて,1967~83 年に出生した在胎週数の異なる小児を同定し,2003 年まで追跡調査を実施した.
先天奇形のなかった生存出生児 903,402 例を対象とした(在胎 23~27 週 1,822 例,28~30 週 2,805 例,31~33 週 7,424 例,34~36 週 32,945 例,37 週以降 858,406 例).成人期まで追跡調査を行うことのできた生存児の割合は,それぞれ 17.8%,57.3%,85.7%,94.6%,96.5%であった.生存児における脳性麻痺の有病率は,正期産児で 0.1%であったのに対し,在胎 23~27 週で出生した児では 9.1%であった(在胎 23~27 週での出生の相対リスク 78.9,95%信頼区間 [CI] 56.5~110.0).また,精神遅滞の有病率は正期産児で 0.4%,在胎 23~27 週で出生した児で 4.4%であり(相対リスク 10.3,95% CI 6.2~17.2),障害年金受給率はそれぞれ 1.7%,10.6%であった(相対リスク 7.5,95% CI 5.5~10.0).医学的障害が発生しなかった児では,在胎週数は,到達教育レベル,収入,社会保障給付金の受給,家庭の構築と関連したが,失業率,犯罪行為とは関連しなかった.
1967~83 年にノルウェーで出生したこのコホート集団において,成人期の医学的・社会的障害リスクは,在胎週数が短くなるほど増大した.