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December 25, 2008 Vol. 359 No. 26

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ANCA 関連血管炎に対する維持療法としてのアザチオプリンとメトトレキサートの比較
Azathioprine or Methotrexate Maintenance for ANCA-Associated Vasculitis

C. Pagnoux and Others

背景

ウェゲナー肉芽腫や顕微鏡的多発性血管炎に対する現行の標準療法では,寛解導入を目的に副腎皮質ステロイドとシクロホスファミドを併用投与した後,維持療法としてアザチオプリンやメトトレキサートなどの毒性の低い免疫抑制薬を投与する.しかし,アザチオプリンとメトトレキサートの安全性と有効性に関する比較は行われていない.

方 法

この前向き多施設共同非盲検試験において,シクロホスファミドと副腎皮質ステロイドの静脈内投与により寛解にいたったウェゲナー肉芽腫患者と顕微鏡的多発性血管炎患者を,アザチオプリン経口投与群(2.0 mg/kg/日),メトトレキサート経口投与群(0.3 mg/kg/週から 25 mg/週に漸増)のいずれかに無作為に割り付け,12 ヵ月間投与した.主要エンドポイントは,試験薬の投与中止を必要とする有害事象,または死亡にいたった有害事象とした.標本サイズは,メトトレキサートはアザチオプリンより毒性が低いという主要仮説に基づき算出した.副次的エンドポイントは重篤な有害事象および再発とした.

結 果

適格患者 159 例のうち寛解にいたった 126 例(79%)を,63 例ずつ 2 つの群に無作為に割り付け,平均(±SD)29±13 ヵ月間追跡した.有害事象は,アザチオプリン群の 29 例,メトトレキサート群の 35 例で発生した(P=0.29).そのうちグレード 3 または 4 の重篤な有害事象は,アザチオプリン群 5 例,メトトレキサート群 11 例であった(P=0.11).主要エンドポイントにいたったのは,アザチオプリン群 7 例に対しメトトレキサート群 12 例で(P=0.21),メトトレキサート群のハザード比は 1.65(95%信頼区間 0.65~4.18,P=0.29)であった.メトトレキサート群の 1 例が死亡した.再発はアザチオプリン群の 23 例とメトトレキサート群の 21 例でみられ(P=0.71),そのうち 73%は試験薬の投与中止後に再発した.

結 論

この結果は,メトトレキサートはアザチオプリンよりも安全であるという主要仮説を支持するものではない.両剤は,初回寛解後のウェゲナー肉芽腫と顕微鏡的多発性血管炎の患者の維持療法として,同等の安全性と有効性をもつ代替薬と考えられる.(ClinicalTrials.gov 番号 NCT00349674)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2790 - 803. )