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July 3, 2008 Vol. 359 No. 1

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急性腎障害を呈する重症患者に対する腎補助の集中度
Intensity of Renal Support in Critically Ill Patients with Acute Kidney Injury

The VA/NIH Acute Renal Failure Trial Network

背景

急性腎障害(acute kidney injury)を呈する重症患者に対する,腎代替療法の最適な集中度については議論がある.

方 法

急性腎障害に加え,腎臓以外の臓器不全を 1 つ以上あるいは敗血症を呈する重症患者を,集中的な腎代替療法と,集中度の低い腎代替療法のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは 60 日目までの全死因死亡とした.両群で,血行動態が安定している患者には間欠的血液透析を,不安定な患者には持続的静脈-静脈血液濾過または持続的低効率透析(sustained low-efficiency dialysis)を行った.集中的治療群では,間欠的血液透析と持続的低効率透析を週 6 回,持続的静脈-静脈血液濾過を 35 mL/kg 体重/時の透析量で行い,低集中度治療群では同様の治療を週 3 回行い,持続的静脈-静脈血液濾過を 20 mL/kg 体重/時で行った.

結 果

両群の患者 1,124 例のベースライン特性は同等であった.60 日目までの全死因死亡率は,集中的治療群で 53.6%,低集中度治療群で 51.5%であった(オッズ比 1.09,95%信頼区間 0.86~1.40,P=0.47).腎代替療法の期間,腎機能の回復率,腎臓以外の臓器不全の発生について,両群間で有意差は認められなかった.低血圧の合併症が生じた血液透析の頻度は両群で同等であったが,間欠的透析中の低血圧は集中的治療群の患者でより多くみられた.

結 論

急性腎障害を呈する重症患者に対し,集中的腎補助を行っても,透析量が規定された週 3 回の間欠的血液透析および 20 mL/kg/時の持続的腎代替療法を用いた低集中度治療と比べて,死亡率の低下,腎機能回復の促進,腎臓以外の臓器不全の発生率の低下はみられなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00076219)

本論文(10.1056/NEJMoa0802639)は,2008 年 5 月 20 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 7 - 20. )