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May 6, 2010 Vol. 362 No. 18

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非アルコール性脂肪性肝炎に対するピオグリタゾン,ビタミン E,プラセボの比較
Pioglitazone, Vitamin E, or Placebo for Nonalcoholic Steatohepatitis

A.J. Sanyal and Others

背景

非アルコール性脂肪性肝炎は頻度の高い肝疾患であり,肝硬変に進行する可能性がある.現在のところ確立した治療法はない.

方 法

糖尿病を合併していない非アルコール性脂肪性肝炎の成人患者 247 例を,96 週にわたりピオグリタゾン 30 mg/日を投与する群(80 例),ビタミン E 800 IU/日を投与する群(84 例),プラセボを投与する群(83 例)のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,非アルコール性脂肪性肝炎における組織像の改善とし,脂肪変性,小葉の炎症,肝細胞の風船様腫大,線維化に関する標準化スコアにより総合的に評価した.主要転帰の比較を 2 回計画していたことをふまえ,P 値が 0.025 未満の場合に統計学的有意性を示すものとした.

結 果

ビタミン E 群では,プラセボ群と比較して,非アルコール性脂肪性肝炎の改善率が有意に高かったが(43% 対 19%,P=0.001),ピオグリタゾン群では,プラセボ群と比較して,改善率に有意差は認められなかった(それぞれ 34%と 19%,P=0.04).ビタミン E 群とピオグリタゾン群では,プラセボ群と比較して,アラニンアミノトランスフェラーゼとアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの血清値が低下し(両比較について P<0.001),両群ともに脂肪肝(ビタミン E 群で P=0.005,ピオグリタゾン群で P<0.001),小葉の炎症(ビタミン E 群で P=0.02,ピオグリタゾン群で P=0.004)の減少に関連していたが,線維化スコアに改善はみられなかった(ビタミン E 群で P=0.24,ピオグリタゾン群で P=0.12).ピオグリタゾン群の患者では,ビタミン E 群やプラセボ群の患者より体重増加量が大きかった.その他の副作用は 3 群で同程度であった.

結 論

糖尿病を合併していない非アルコール性脂肪性肝炎の成人患者の治療に,ビタミン E はプラセボよりも優れていた.ピオグリタゾンでは,主要転帰に関してはプラセボを上回る効果はみられなかったが,一部の副次的転帰には有意な有益性が認められた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT0063622)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 1675 - 85. )